集中式冷房装置

集中式冷房装置の概要

集中式冷房装置は、鉄道車両の冷房システムの一つとして位置づけられています。このシステムでは、冷房機器が屋根上、床下、または車内に配置され、ダクトを通じて冷風が供給される仕組みとなっています。特に、屋根上に設置されるケースが一般的であり、冷風の供給方法にはプレナムチャンバー方式とスポット方式があります。

特徴

この冷房方式の最大の利点は、機器を一箇所に集約できる点です。分散式や集約分散式に比べて設置や保守が容易であり、部品数も限られるため、トラブルが発生した際の対応が軽減されます。また、屋根上の面積を最小限に抑えることで、パンタグラフの設置も容易になり、特急形や急行形の車両でも多く採用されています。

集中式冷房装置は、換気機能を持つことが多く、このためにベンチレーターが不要となり、屋根上の通風口がないことで車両の腐食を抑えることができます。さらに、機器が集中しているため、整備も簡素化され、効率的な運用が可能です。設置が床下の場合には、重心が下がり、地面からの点検も容易であるといった利点があります。床上に設置されることもありますが、その場合には客室に近接するため、騒音の影響が懸念されることもあります。

短所

一方、集中式の設置には短所も存在します。冷風を効果的に分配するために大量のダクトが必要となり、そのスペースが広がる一方で、冷房機器に不具合が生じた際には、その車両全体が冷房なしで運行しなければならなくなります。また、冷房装置を屋根上に設ける場合、機器が重くなるために車体の構造が大幅に補強される必要が出てきます。特に非冷房車を改造する際には、その準備が欠かせません。

採用事例

集中式冷房装置は日本国有[[鉄道]]（国鉄）やJRグループによって広く採用されてきました。特に、AU71やAU78、AU79などの形式が、屋根上に大きなユニットを搭載して使用されており、冷却能力も高いのが特徴です。また、国鉄の近郊形や通勤形電車でもこの冷房方式が多く見られます。国鉄分割民営化後も、特にJR東日本やJR九州では、新たに製造された通勤形電車において当然のようにこの方式が採用されています。

気動車では、キハ183系やキハ66・67形でも集中式冷房装置が利用されていますが、他の方式の装置が主流になりつつあります。さらに、JR北海道のキハ283系では、自社での冷暖房を賄うために、機関駆動の発電機を備えた新しい冷房方式が実現されました。

床下設置方式は、特に国鉄381系電車や新幹線車両に見られ、重心を下げるために導入されました。逆に、床上設置方式は、他に冷房装置を載せるスペースがない車両で活用されています。例えば、箱根登山鉄道の電車がその一例です。

総評

集中式冷房装置は、特に日本の鉄道において広範囲にわたって採用されており、冷房需要に対する効率的な解決策を提供しています。将来的には、さらに改良が加えられ、ますます多くの車両にこのシステムが導入されることでしょう。

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