集乳車

集乳車とは

集乳車は、酪農家で生産された生乳を、保冷しながら集荷し、クーラーステーションや牛乳工場へ輸送するための専用車両です。トラックの荷台に大型タンクを搭載したタンクローリーの一種であり、酪農家から直接牛乳を効率的に集める役割を担っています。

構造と機能

集乳車には、以下のような装置が搭載されています。

大型タンク: ステンレス製で、内部は研磨されており、衛生的に牛乳を保管できます。二重構造で断熱材が充填されており、牛乳の温度を低温に保ちます。
ホース: 酪農家のバルククーラー（牛乳貯蔵タンク）と接続し、牛乳を吸引します。
ポンプ: 自吸式ポンプが一般的で、集乳車のPTOから油圧を得て作動します。真空ポンプでタンク内を負圧にして牛乳を吸い上げるタイプもあります。
品質検査装置: アルコールを用いた品質チェックや、代表サンプルの採取を行うための器具が備わっています。
計量器: 各酪農家の乳量を正確に計測するための装置です。機械式流量計、電磁流量計、質量流量計などが用いられ、近年は電磁流量計が主流です。

集乳のプロセス

集乳車は、各酪農家を巡回し、バルククーラーからホースを接続して牛乳をタンクに吸引します。吸引時には、ポンプを作動させ、牛乳をタンクに送り込みます。牛乳の品質をチェックし、必要に応じてサンプルを採取します。計量器を用いて、各酪農家の乳量を正確に計測します。

洗浄

集乳車は、毎日の作業終了後に必ず洗浄が必要です。洗浄方法には、以下の2種類があります。

自動洗浄: 専用の洗浄装置を使用し、温水と洗浄液をタンク内に循環させて洗浄します。短時間で洗浄できます。
手洗い洗浄: 作業員がタンク内に入り、ブラシと洗浄液で丁寧に洗浄します。自動洗浄に比べて、使用水量を抑えることができます。

近年の動向

近年、酪農家の統廃合や大規模化が進んでおり、集乳車の台数は減少傾向にあります。しかし、一台あたりのタンク容量は大きくなる傾向にあり、より効率的な集乳が求められています。

まとめ

集乳車は、酪農家と牛乳工場を結ぶ重要な役割を担っています。高品質な牛乳を消費者に届けるために、集乳車の衛生管理は徹底して行われ、日々進化しています。その効率的な運用は、酪農産業を支える上で欠かせないものとなっています。

関連項目

搾乳
* タンクローリー

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