離婚テキレイ期

1984年、日本の社会を映した夫婦ドラマ『離婚テキレイ期』

1984年、TBS系列で放送されたテレビドラマ『離婚テキレイ期』は、結婚10年目の夫婦の葛藤と再生、そして家族の形をテーマにした社会派ドラマです。全12話、毎週火曜日のゴールデンタイムに放送され、多くの視聴者の共感を呼びました。

当時の社会背景とドラマのテーマ

1980年代前半、日本の離婚件数は増加傾向にあり、特に結婚5年から10年目の夫婦の離婚率が高かったという社会問題が背景にありました。このドラマは、そんな時代の流れを反映し、「結婚適齢期」と同様に「離婚適齢期」が存在するのではないかという問題提起から始まります。

主人公の柏木朝子（浅丘ルリ子）は、結婚10年目、9歳と8歳の息子を持つ共働き主婦です。3年前に復職した旅行代理店での仕事と、家事、子育て、そして夫との関係に悩む朝子の姿を通して、現代社会における女性の生き方や夫婦関係のあり方が描かれています。

複雑に絡み合う登場人物たち

ドラマは、朝子とその夫・圭介（竹脇無我）の家庭を主な舞台に、職場や圭介の親族との関係なども含め、多様な人間関係が複雑に絡み合っています。圭介は仕事はできるものの、家事については古風な考えを持つ人物です。朝子の職場には、離婚経験を持つ同僚や、結婚生活に悩む若い夫婦など、様々な境遇の人々が登場します。

朝子の同僚である山村里美（根岸季衣）は、職を転々とする夫と離婚し、一人娘を育てています。里美の境遇は、当時の女性の社会進出と離婚問題を象徴的に示しています。また、圭介の弟夫婦も登場し、彼らの結婚生活もまた問題を抱えています。特に、圭介の弟の妻である奈緒（遠藤京子）は家事が苦手で、結婚生活に幻滅を感じている様子が描かれています。

仕事と家庭の両立、そして夫婦のあり方

ドラマでは、朝子が仕事と家庭の両立に奮闘する様子が克明に描かれています。共働き世帯が増加する中、家事や育児の負担、そして夫婦間のコミュニケーション不足などが、夫婦関係の危機を招く一因として描かれています。

さらに、朝子の職場では、やり手部長との衝突や、同僚との人間関係など、仕事上の悩みも描かれています。これらの描写を通して、現代社会における女性の生きづらさや、仕事と家庭の両立の難しさなどが浮き彫りにされています。

ドラマの結末とメッセージ

『離婚テキレイ期』は、単なる夫婦の危機を描いたドラマではありません。様々な困難を乗り越えようとする朝子の姿を通して、夫婦のあり方、家族の形、そして現代社会における女性の生き方といった普遍的なテーマを問いかける作品です。

最終回では、朝子と圭介の夫婦関係がどのように変化していくのか、そしてそれぞれの登場人物がどのような未来を選択していくのかが描かれます。視聴者には、それぞれの登場人物の選択に対して、様々な考えや意見があるかもしれません。しかし、このドラマが視聴者に投げかけるメッセージは、現代社会においても依然として普遍的なテーマとして、多くの視聴者の心に響くものだったと言えるでしょう。

豪華キャスト陣

このドラマには、浅丘ルリ子、竹脇無我といったベテラン俳優に加え、明石家さんま、所ジョージなど、当時人気を博していた俳優陣が出演しています。それぞれの俳優陣の演技が、ドラマに深みを与え、作品の魅力を高めています。主題歌は遠藤京子が担当し、ドラマの世界観をさらに盛り上げています。

もう一度検索