雲揚 (砲艦)

雲揚（うんよう）

雲揚は日本海軍に属する軍艦で、もともとは長州藩が所有していた砲艦である。艦名の「雲揚」は、高く舞い上がる雲を象徴しており、勢いがある様を表現している。この艦は江華島事件において重要な役割を果たし、その後日本の海軍史に名を刻む存在となった。

艦の購入と献納

雲揚は明治3年、長州藩によって購入され、その後「雲揚丸」と名付けられた。当時の価格は8万ドルであり、明治4年に明治政府に献納されることとなった。この献納によって、艦は兵部省の管理下に入った。

関係する文献には、艦の由来として明治2年に長州藩がイギリスに発注し、製造されたと記載されている。献納は、山口藩からの申し出に基づき、修理後に行われたため、艦の歴史はさまざまな経緯を持つ。

日本海軍への編入

雲揚は明治4年に六等艦に指定され、その後中艦隊に編入される。この艦は、巡幸や警護任務に従事し、特に西海域の巡回や琉球王国の使節の訪問時には輸送役を果たした。また、1873年には長崎港に常備艦として配置され、この間にイタリア王子の来日に関与するなど、艦は国内外での重要な任務を任された。

江華島事件との関連

江華島事件は、朝鮮との修好に関する交渉が難航したことに端を発し、海軍艦船が派遣された大きなきっかけであった。この際、雲揚は艦長井上良馨の指揮の下、1875年に釜山に到着し、示威行動を行った。事件は、日本の軍事力をアピールする形となり、その結果として、雲揚は朝鮮東岸での測量や示威行動を行うこととなった。

雲揚の終焉

しかし、雲揚の運命は悲劇に終わることとなる。1876年10月に横浜港を出発した際、悪天候に見舞われ、御前崎沖で航行中に浸水し、最終的には沈没することとなった。この事故は、雲揚にとって悲運な結末であり、艦長の指揮の下、多くの乗員が苦難を強いられた。浸水によって機関が停止し、艦は波に飲まれる形で失われてしまった。

雲揚の影響と評価

雲揚はその短い生涯の中で、日本海軍において多くの実績を挙げた艦であり、特に江華島事件などの国際的な舞台での役割が評価される。艦の死は、当時の日本海軍の発展に貢献すると同時に、艦に搭乗した全ての人々の犠牲を忘れてはならない歴史的な出来事であった。雲揚の残骸は、その後1877年に売却されたが、艦の存在は日本海軍の歴史に刻まれることとなった。

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