電 (吹雪型駆逐艦)

駆逐艦電の概要

駆逐艦「電」は、日本海軍の一等駆逐艦であり、吹雪型駆逐艦の一艦として1930年に起工され、1932年に進水、1941年に太平洋戦争に突入した艦船です。この艦は、駆逐艦の設計に関する制約がある中で建造された最後の艦となりました。最初の艦名を持つ駆逐艦「電」に続く二代目として、艦は多くの戦火を潜り抜け、やがて名を知られる存在となりました。

建造と艦歴

「電」は、藤永田造船所で建造が始まり、1932年に竣工。建造途中に他の艦とともに艦名を正式に与えられました。竣工後の電は、地震救助活動や演習に参加し、鍛えられていきました。しかし、1934年に僚艦「深雪」との衝突が発生し、艦首部を大きく損傷。これにより電は長期の修理を余儀なくされました。

戦闘活動

電は、1941年12月の香港攻略戦を皮切りに本格的に戦闘に参加し、特に1942年のスラバヤ沖海戦では、イギリスの重巡洋艦エクセターに魚雷を命中させる戦果を上げました。戦闘の中で、エクセターの乗組員の救助に奔走し、376名の敵兵を救助することでも知られています。この行動に対しては艦内放送で「沈みゆく敵艦に敬礼」と流され、乗組員たちも敬意を表しました。

その後も電は数々の艦隊任務をこなし、北方へも出撃しました。特にAL作戦やガダルカナル島の戦いでは、物資輸送や護衛任務に従事し、数多くの戦果を収めました。1942年11月から12月には、ニューギニアにおける輸送作戦に参加し、度重なる空襲に対しても勇敢に立ち向かいました。しかし、同時に多くの艦艇との戦闘の中で、友軍部隊や艦船も被害を被ることがありました。

最期の闘い

1944年に入ると、電は更なる任務を続けましたが、同年5月14日、アメリカの潜水艦ボーンフィッシュとの遭遇時に二発の魚雷を受け、沈没してしまいました。沈没の際、169名の乗員が戦死しましたが、生存者の121名が仲間の駆逐艦「響」に救助され、戦争の厳しさを象徴する出来事となりました。

艦の除籍は1946年に行われ、電の名を持つ艦船としての歴史は幕を閉じました。駆逐艦電は、その活動を通じて日本海軍の勇敢さや艦艇に対する思いを今に伝える重要な存在です。

慰霊碑と記録

電の戦いを記憶するため、岩手県盛岡市に慰霊碑が建立され、艦の歴史を語り継ぐ存在となっています。また、艦長たちの戦歴が残されており、艦の存在は今もなお多くの人々によって語られ続けています。

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