電気二重層コンデンサ

電気二重層コンデンサ

電気二重層コンデンサ（EDLC）は、電気二重層という現象を活用し、高い蓄電能力を誇るコンデンサの一種です。これは、電気化学キャパシタとも呼ばれ、約20世紀末からその開発が進められてきました。特に、電気二重層キャパシタはウルトラ・キャパシタやスーパー・キャパシタとも名付けられることがあります。

特徴

このコンデンサには、いくつかの特性があります。まず目を引くのは、内部抵抗が低いため、充電と放電が素早く行える点です。二次電池とは異なり、蓄電時の劣化が少なく、長寿命を実現しています。耐電圧は3V程度と低めですが、複数を直列接続することで高電圧化が可能です。

自己放電が比較的多く、充電後も時間と共に電気が失われるものの、充放電の繰り返しが非常に多く可能であり、サイクル寿命は十万回から百万回程度とされています。また、ほかのコンデンサに比べると高価な部分もありますが、将来的にはパフォーマンス向上が期待されています。

歴史

1879年、ドイツの物理学者ヘルムホルツにより発見された「電気二重層」がこのコンデンサ技術の始まりです。1970年代後半には日本の電子部品メーカーが高性能な電気二重層コンデンサを市場に投入しました。

動作原理

電気二重層コンデンサは、正極と負極の間に形成される電気二重層で電荷を蓄えます。外部から電圧が供給されると、電解質中の陽イオンと陰イオンが電極の表面に集まり、分子層が形成されます。この際の電荷蓄積量は、電流の大きさや電解質中のイオンの濃度、電極の表面積に依存します。

種類

このコンデンサは、使用する溶媒によって液体と水系に大別され、形状でも円筒型と箱型に分かれます。円筒型は製造効率に優れ、箱型はエネルギー密度が高いとされています。

構造

内部構造は、電極部、電解液部から成り、電極は分極性材料と導電助剤で形成され、電解液は陽イオンと陰イオン、溶媒から構成されます。これらの要素が相互に作用しながらコンデンサの性能を支えています。

特性・運用

充電には電流電源の使用が望まれ、放電時は必然的に電圧が直線的に低下します。このため、用途によって昇圧が求められることが多いです。安全性を考慮し、十分な充電装置と制御回路を備える必要があります。

危険性

電気二重層コンデンサは、大電流を流せるため、感電の危険性があり、特に充電維持中のメンテナンスには細心の注意が必要です。

実用例

実用化例は多岐にわたります。無停電電源装置や電子機器のバックアップ電源としても利用されています。近年では自動車や多種の機器にも応用が進み、その存在感を増しています。

未来の技術

新たなキャパシタ技術として、ECS（Energy Capacitor System）やレドックス・キャパシタ、ハイブリッド・キャパシタが開発中です。これらは電気二重層コンデンサの特性を生かしつつ、さらに性能向上を目指しています。将来的には、さらなる用途の広がりや技術革新に期待が寄せられています。

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