電気機械器具の外郭による保護等級とは？意味をやさしく解説

電気機械器具の外郭による保護等級（JIS C 0920）について

電気機械器具の保護等級（JIS C 0920）は、日本工業規格（JIS）によって定められた、電気機器の外郭がどれだけ外部からの固形物や水の浸入を防ぐことができるかを示す等級です。この規格は、製品の安全性と信頼性を確保するために不可欠であり、家電製品のカタログや取扱説明書などで「JIS保護等級」として記載されることがあります。特に、防水に関する等級が注目されることが多いです。

製品にこの等級を表示するためには、定められた試験をクリアする必要があります。2003年の改定により、国際電気標準会議（IEC）の規格である「エンクロージャによる保護等級（IPコード/IEC 60529）」と統一化が図られ、以前の規格は廃止されました。ただし、旧規格もIEC規格に基づいて策定されており、試験手順などの細部に違いはあるものの、大まかな内容は同じです。

IPコードについて

IPコードは、保護等級や付加的な情報をコード化したものです。このコードは、「Ingress Protection」の略である「IP」で始まり、通常は4文字から6文字で構成されます。例えば、「IP68」という表示の場合、最初の数字「6」は固形物に対する保護等級を、次の数字「8」は水に対する保護等級を示します。保護等級が省略される場合は「X」で表されます。この「X」は「無保護」を意味するのではなく、「当該の保護等級に関する試験は実施していない」ということを意味します。

また、防水性能を示す等級では、試験項目間の単純な優劣関係がないため、「IPX5/IPX8」のように複数の等級が併記されることがあります。これは、製品が複数の試験基準を満たしていることを示します。

外来固形物に対する保護等級

外来固形物に対する保護等級は、いわゆる「防塵」性能を示すものです。この等級は0から6までの7段階で表され、6級が最も高い防塵性能を示します。6級以外の等級では、何らかの固形物が内部に侵入する可能性があります。

等級	保護内容	概要
-	-	---
0	無保護	特になし

1	直径50mm以上の固形物	手や工具などによる侵入防止

2	直径12.5mm以上の固形物	指や同様の物による侵入防止

3	直径2.5mm以上の固形物	工具や配線などによる侵入防止

4	直径1mm以上の固形物	細い針金などによる侵入防止

5	防塵形	粉塵の侵入を完全に防止するわけではないが、正常な運転を阻害するほどの粉塵が侵入しない

6	耐塵形	粉塵の侵入がない

水の浸入に対する保護等級

防水性能は「IPX」で表され、0から8までの9段階で評価されます。IPX0は、水に対する保護がない状態を意味します。IPX1からIPX7までは、それぞれ異なる試験方法が規定されており、水滴、噴霧水、噴流水、浸水といった異なる状況での防水性能を評価します。

IPX8は、IPX7よりも厳しい条件での試験が求められますが、具体的な試験方法はメーカーに委ねられています。そのため、IPX8の防水性能はメーカーの独自基準によるものとなります。

注意点

IPX0からIPX6までは、水が内部に浸水する可能性があることに留意が必要です。ただし、必ず浸水するというわけではありません。
IPX7やIPX8は、規格上の防水性能を示すものであり、製品の突発的な不良、経年劣化、誤った操作などによる事故を完全に防ぐものではありません。
IPX7とIPX8は、一定時間水中に沈めるという潜水に対する防水性能を示すものであり、IPX5やIPX6で実施される噴流水に対する防水性能とは異なります。そのため、製品によっては「IPX5/IPX7」のように複数の等級が併記されることがあります。

等級	保護内容	概要
-	-	---
0	無保護	特になし

1	垂直に落下する水滴	垂直に落下する水滴に対する保護

2	垂直より15°以内からの落下水滴	垂直より15度以内の角度からの落下する水滴に対する保護

3	噴霧水	垂直より60度以内の角度からの噴霧水に対する保護

4	飛沫	あらゆる方向からの飛沫に対する保護

5	噴流水	あらゆる方向からの噴流水に対する保護

6	暴噴流	あらゆる方向からの暴噴流に対する保護

7	浸水	一時的に水中に沈めた状態での保護

8	潜水	継続的に水中に沈めた状態での保護

注意事項

4級の「防まつ形」は、本来「防沫形」と表記されるべきですが、「沫」が常用漢字ではないため、「まつ」と表記されます。

出典

日本産業標準調査会：データベース-JISリスト C0920

もう一度検索