電波伝播

電波伝播とは

電波伝播とは、電波が空気中を移動し、遠くの受信地点に到達する現象を指します。無線通信はこの伝播の原理を基本としており、私たちの日常生活に深く関わっています。しかし、この伝播は自然の影響を受けやすく、周波数、時間、地理的な位置によりその特性が変わります。特に、通常と異なる伝播状態は「異常伝播」と呼ばれ、多くの興味深い現象を生じさせます。

周波数による分類

電波の伝播モードを周波数によって分類すると、「自由空間」におけるものや、「導波管」の中での伝播が考えられます。これらのモードは、電波の挙動を理解する上で重要な役割を果たします。

経路による分類

電波の伝播経路には主に以下のようなものがあります。

地上波

電波が地球表面に沿って移動する場合、直接波と大地反射波の2つの経路が存在します。直接波は2地点を直線で結び、発信源からの電波が直進するものです。一方で、高周波数の電波は、地表の障害物や山岳によって回折し、より遠方に届くことがあります。これを「回折波」と呼びます。特に中波以下では、回折現象が顕著に表れ、電波は地表を沿って伝播するという特性を持っています。

上空波

地表から数十キロメートルの上空には電離層があり、これが短波帯の電波を反射させることにより、これもまた見通し距離を超えて電波を伝播させる要因となります。電離層は、様々な気象条件やその他の要因によって変動するため、その影響を受けやすいです。

対流圏波

その他、対流圏内での屈折によっても電波は伝播します。特に大気の状態により、電波が異常に屈折して普段の見通し距離を超えて伝播することもあります。この現象の一部は「ラジオダクト」と呼ばれ、特定の条件下で発生します。

間接波

直接波以外の大地反射波や回折波、地表波、上空波、対流圏波は「間接波」と総称され、これらは異なる経路から伝播し、受信機に到達します。

異常伝播について

電波伝播の異常現象には様々な原因があります。たとえば、スポラディックE層やデリンジャー現象、磁気嵐などの自然現象があります。これらの現象によって、伝播が著しく変化し、特異な通信経路が生じることがあります。

現象の具体例

• - ロングパス: 電離層の影響で、地球上の最短経路以外の経路を使って電波が強く伝播する現象。
• - エコー: 電波が地球を一周するのにかかる時間に基づいて、エコーが発生することがあります。
• - 赤道横断伝播: 春分・秋分の時期に、日本とオーストラリアなど、赤道を挟んだ地点の間で異常伝播が見られることがあります。
• - 対蹠点効果: 地球の反対側の地点における通信が便利になりやすい現象で、特定の条件では通信が24時間可能になります。日本の対蹠点はアルゼンチンやウルグアイの付近に位置します。

これらの要因により、電波の伝播は多様で奥深い現象となります。これを理解することで、無線通信の理論や実際の運用に役立てることができるでしょう。

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