電離箱

電離箱について

電離箱（でんりばこ、英: ionization chamber）は、主に電離放射線を検知・測定するための装置です。これにより、様々な種類の放射線がどれだけ存在しているかを計測することが可能です。

構造と仕組み

電離箱は、2枚の金属製の導体板、すなわち電極で構成されたガス充填の容器です。電極の形状には平行な板や共軸の円筒型があります。通常、これらの電極の一方は容器の壁となっています。内部には電圧が印加されていますが、通常は電流は流れません。

放射線（例：アルファ粒子、ベータ粒子、X線、ガンマ線など）がこの容器に入射すると、放射線が通過した軌跡に沿ってガスが電離され、正に帯電したイオンと負に帯電した電子が生成されます。これらの粒子は、電圧の影響でそれぞれの電極に向かって移動し、一時的に電流が流れる短いパルスが発生します。この電流は検流計で測定でき、電離反応の頻度を知る手助けとなります。

とはいえ、個々の電子が生み出す電流は非常に微弱なため、通常は抵抗器を用いて測定したり、コンデンサを用いて電流の積分を行ったりします。このようにして精密な計測が可能になります。

多様なタイプ

電離箱には多種多様な放射線計数器や検知器があります。その中には、異なるガスを使用するものや液体で満たされたもの、または空気に開放されたものも含まれています。また、入射窓の材質によっても測定データは異なります。例えば、アルファ粒子はガラスの窓を通過できませんが、雲母の窓を使うことで両方の粒子を測定することができます。

印加電圧を高めると、電場が電子を加速し、エネルギーの高い電子が別の電離を引き起こすことがあります。この現象を利用した検知器を比例計数管と言い、さらに電圧を上げると二次電子による電離反応が多数発生し、結果として特定の放射線量に関わらず一定の電離数が得られることになります。これがガイガー＝ミュラー計数管です。

煙感知器としての利用

電離箱は、煙感知器としても利用されています。特にイオン式煙感知器は、電離箱の原理を取り入れた装置です。この場合、電極間の空間が空気に開放されており、少量のアメリシウム-241が含まれています。この放射性物質から放出されるアルファ粒子は、周囲の空気を電離し、イオンを生成します。電極間に電圧がかかることで、これらのイオンが移動し、小さな電流が形成されます。

煙が感知器内に侵入すると、イオンは煙の粒子に衝突し、中和されることで電流が減少します。この電流の低下が、警報を発するトリガーとなります。

その他の情報

電離箱は、放射線測定における重要なツールであり、原子力の研究や医療分野において広く応用されています。これにより、私たちは放射線に関するリスク管理や安全対策をより効果的に行うことができます。

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