露館播遷

露館播遷の概要

露館播遷（ろかんはせん）は、1896年2月11日から1897年2月20日にかけて発生した、李氏朝鮮の第26代王・高宗によるロシア公使館への逃亡を指します。この事件は、当時の朝鮮の政治的混乱と外圧の象徴的な出来事として位置づけられ、韓国でも「露館播遷」や最近では「俄館播遷」として知られています。

背景

高宗が露館播遷を決断した背景には、当時の朝鮮国内での権力闘争と日本の影響力の拡大がありました。特に1895年に発生した閔妃の殺害事件（乙未事変）は、朝鮮の政治状況を一変させ、反日感情が高まる中、高宗にとっての選択肢の一つとしてロシア公使館への逃避が浮上しました。

事件の経緯

1896年の初頭、高宗に対する反乱の動きが見られました。特に、閔妃殺害事件に関与したメンバーによる反抗やクーデターが計画され、これにより高宗は危機的な状況に追い込まれました。この時、ロシア総領事カール・イバノビッチ・ヴェーバーが個人的に高宗にロシア公使館の避難所を提供したことが、徐々に事件を加速させる要因となりました。

2月11日、高宗は世子（純宗）と共に宮女の供を借り、そのかごに乗ってロシア公使館へ逃げ込みました。高宗の逃避は、公使館へ向かう過程で様々な困難に直面しながらも成功しました。この逃亡により、高宗は自らの身を守ると共に、ロシアの支持を得る手段としました。

露館播遷後の展開

露館播遷後、高宗はロシア公使館での安全を確保し、再び政権を維持しようと試みました。新しい内閣が発足し、彼は改めて権力を固めることができましたが、外敵の影響力も無視できませんでした。特に、1896年にはロシア軍が朝鮮半島への影響力を強め、様々な権益を獲得するなど朝鮮における状態は依然として不安定でした。

その後、高宗は1897年に慶運宮に還宮し、大韓帝国としての国号を改める決定をしました。この結果、露館播遷は朝鮮の歴史において重要かつ決定的な意味を持つ事件として位置づけられることとなります。

結論

露館播遷は、李氏朝鮮の王権や外的影響力との葛藤を象徴する事例であり、朝鮮の近代史を理解する上で欠かせない出来事です。高宗がロシア公使館に逃れることによって、自らの政治的立場を維持し、国の行く末を幾らかでも左右しようとしたこの逃避の決断は、後の大韓帝国の成立に大きな影響を与えることになりました。

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