青い春

青い春：青春の光と影を描いた青春映画

2002年公開の映画『青い春』は、漫画家・松本大洋の同名短編集を原作とする青春映画です。監督は豊田利晃。本作は、松本大洋の漫画『しあわせならてをたたこう』をベースに、『青い春』に収録されたエピソードやキャラクターを織り交ぜて構成されたオリジナルストーリーとなっています。

舞台は男子高校。個性豊かな不良グループが織りなす青春群像劇は、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの楽曲を効果的に使用することで、独特の雰囲気と疾走感を生み出しています。

物語の中心となるのは、物静かな九條（松田龍平）です。彼は、卒業式の日にクラスメートと行う「ベランダゲーム」で新記録を樹立しますが、その勝利にも、学校における権力闘争にも、全く興味を示しません。九條をはじめとする不良グループの面々は、それぞれが複雑な内面を抱え、青春時代の葛藤や迷いを経験していきます。

映画では、九條を取り巻く個性的なキャラクターたちが、彼と複雑に絡み合いながら、それぞれの「青い春」を謳歌し、そして苦悩します。友人である青木（新井浩文）、雪男（高岡蒼佑）、木村（大柴裕介）らとの関係性を通して、友情や裏切り、そして成長の過程がリアルに描かれています。

キャストには、松田龍平、新井浩文、高岡蒼佑、大柴裕介といった、当時から注目を集めていた若手俳優たちが名を連ねています。彼らの演技は、登場人物たちの繊細な感情や複雑な心理を巧みに表現し、観る者の心に深く刻まれます。その他にも、山崎裕太、忍成修吾、永山瑛太（当時EITA）、塚本高史など、個性豊かな俳優陣が脇を固めています。

豊田利晃監督独特の映像表現と演出は、青春の瑞々しさ、そしてその裏に潜む影や残酷さを際立たせています。劇中で使用されているTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの楽曲は、映画の世界観をさらに深め、登場人物たちの感情をより鮮やかに表現する役割を担っています。

『青い春』は、単なる不良映画ではありません。青春時代の多様な感情、友情、葛藤、そして成長といった普遍的なテーマを、スタイリッシュな映像と音楽、そして個性的なキャラクターたちを通して描き出しています。

興味深いエピソードとして、新井浩文が2018年のトーク番組で、本作の出演料について言及しています。主演の松田龍平を除く出演者には一律10万円の出演料が支払われ、事務所への取り分や源泉徴収などを差し引くと手取りは6万円だったと明かされました。撮影期間は3週間だったとのことです。このエピソードからも、若手俳優たちの情熱と、映画制作の裏側の一端を垣間見ることができます。

『青い春』は、多くの観客の心に深く刻まれた、忘れ難い青春映画として、今もなお語り継がれています。

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