青少年育成国民会議

社団法人青少年育成国民会議について

社団法人青少年育成国民会議（しょだんほうじんせいしょうねんいくせいこくみんかいぎ）は、かつて日本に存在していた公益法人であり、1966年に設立されました。この団体は、地方自治体に設置された都道府県民会議や市町村会議の全国的な組織として役割を果たしていましたが、その存在は多くの人に知られていないものでした。

設立背景および目的

この国民会議の設立は、青少年の非行が増加していることへの懸念から始まりました。特に、1964年の秋から中青協を中心に議論が進められ、「少年非行は昭和34年から再び増えはじめた」との主張が出されたことが背景にあります。このような事情から、青少年育成を目的にした全国規模の運動が必要であるとされ、設立に至ったという経緯があります。

結成と官製運動

設立当初、国民会議は総理府の中に事務局を置き、都道府県や市町村においても同様に支部が設立されました。表面上は民間団体でありながら、実態は官製運動であったため、戦前の国民精神総動員運動と似た構造を持っていました。本会議自体は、自らの存在を広く知らしめることには失敗しましたが、青少年問題に関する様々な施策を推進する役割を持っていました。

統括的な役割と活動内容

国民会議は日本全国の育成団体やPTA、教育関係者、行政機関と連携し、青少年育成に向けた運動を展開しました。その中で、毎年改めて青少年と文化に関する懇談会を開催し、関係者間での意見、情報交換の場を持つことに努めました。特筆すべきは、1990年代に起こった『有害』コミック問題への対応で、青少年に対する規制強化を求める動きにも参加しました。

存在の認知と政治的な影響

国民会議の具体的な活動が国民に知られることはほとんどありませんでした。たとえば、2000年に立案された青少年社会環境対策基本法案において、初めて国会議員が国民会議の存在を認識した事例があるほどです。この時、国会議員たちは「こんな立派な組織があったのか」と驚いたとされ、国民運動を標榜していたにもかかわらず、国民からの認知度は極めて低いました。

解散へ

しかし、1990年代のメディア規制の変化や、小泉政権による行革で収入源が変わり、国民会議は財政難に直面することとなります。結果的に、2009年7月に解散が決定され、2010年には破産手続きが開始されました。国民会議との関係があった日本青少年育成学会も同様に解散され、長らく続いた歴史に幕を下ろすことになりました。

まとめ

社団法人青少年育成国民会議は、青少年の育成を目的とした団体として活動していましたが、その実態は多くの人に知られることはありませんでした。公的支援があったにもかかわらず、歴史的な背景や運動の内容が認識されないままでの解散は、記憶すべき教訓であると言えるでしょう。

もう一度検索