青春デンデケデケデケ

青春デンデケデケデケ

「青春デンデケデケデケ」は、作家・芦原すなおの青春小説であり、1991年に出版されました。本作は、1960年代の香川県観音寺市を舞台に、ロックバンドを結成した少年たちの青春の情熱と苦悩を描いています。この小説は、ベンチャーズの音楽が大きな影響を与え、彼らの成長と友情を中心に展開します。

あらすじ

物語は1965年、観音寺市に住む高校進学を控えた少年、藤原竹良（ちっくん）を主人公としています。ラジオから流れるベンチャーズの「パイプライン」のイントロに心を動かされ、ロックミュージックに魅了された竹良は、高校に進学後に親しい友人たちと共にバンドを結成します。

彼の仲間には、魚屋の息子・白井清一、寺の跡取りである合田富士男、練り物屋の岡下巧がいます。彼らは初めのうち楽器を手に入れることができず、アルバイトで資金を稼ぎながら練習場所を探し、少しずつバンド『ロッキング・ホースメン』として活動を始めます。彼らは合宿を行ったり、恋愛のもつれや先生との出会い、さらには悲しい別れを経て成長します。

バンドは文化祭でのコンサートを成功させますが、それと同時に将来についての思いも新たにします。竹良は東京の大学に進学することを決めますが、次第に仲間との関係が薄れ、バンド活動が停滞します。竹良は、バンドに対する不安や仲間たちの無関心に苦しみながらも、自身の選択を見つめ直すことになります。

登場人物

藤原竹良

主人公で、バンドのリーダー。自分のオリジナルな演奏に対する自信を持ち、内向的な性格ながらもバンド活動に情熱を注ぎます。

合田富士男

サイドボーカルとベースを担当。社交的で、友達から慕われる存在ですが、時には大雑把な一面も。

白井清一

リードギターを担当、音楽的にはバンドの基盤となる存在であり、少し控えめながらも友情に厚い性格。

岡下巧

ドラムを担当し、メンバーの中では少し気が弱い。最初は運動部にいたが、バンドの魅力に惹かれます。

テーマと影響

この小説のテーマは、青春の苦悩や夢、友情の大切さを強調し、音楽を通じて自己表現を探る若者たちの姿が描かれています。本作は日本文学の中でも、すぐれた青春小説として高く評価されています。

評価とメディア展開

「青春デンデケデケデケ」は、文藝賞と直木賞を受賞した後、1992年には映画化され、さらに2007年には漫画化もされました。また2021年には、続編である『デンデケ・アンコール』が発表されています。原作に基づく映画版では、観音寺市でのロケが行われ、当時の音楽シーンが再現されました。

本作は、青春時代の甘酸っぱさや仲間との絆、音楽への情熱を忘れかけた世代に向けて、改めてその魅力を呼び起こす作品です。

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