青木ヶ原 (映画)

映画『青木ヶ原』の概要

映画『青木ヶ原』は、2012年に公開された日本のドラマ映画で、石原慎太郎の短編小説集『生死刻々』（2009年）に収録された一編を原作としています。この作品は、石原が製作総指揮を務め、なんと48年ぶりに映画に出演したことでも話題になりました。監督は新城卓が務め、これが彼と石原の三度目のコラボレーションとなりました。

あらすじ

物語は、山梨県の忍野村でペンションを経営し、村議会議員としても活動する松村雄大を中心に展開します。ある夜、彼はバーで出会った謎の男と意気投合し、次の日の青木ヶ原樹海での遺体捜索に同行することになります。しかし、捜索中にその男の遺体が発見され、松村は驚愕します。それでも、男の幽霊は松村の前に現れ続け、何かを訴えかけます。

松村は、村の住職に相談し、幽霊が求めることがあるかもしれないと教えられます。県警の友人を通じて男の素性を調査した松村は、男が滝本道夫という東京の老舗の紙問屋の若旦那であることを知ります。松村はその後、道夫が慈善活動で出会った加納純子という女性との関係についても明らかにするため、東京へ足を運ぶことにします。 l

道夫の死の謎を解き明かすべく活動を続ける松村は、最終的には青木ヶ原の樹海に辿り着きます。ここで道夫の想いを受け止める中で、松村自身の人生観にも大きな変化が訪れることでしょう。

キャスト

映画には以下のキャストが登場します。松村雄大役は勝野洋、加納純子役には前田亜季、滝本道夫役は矢柴俊博がそれぞれ演じています。また、ゴリや田中伸一、石原良純など多彩な俳優陣が脇を固めています。この豪華キャストにより、ストーリーがより深く、感動的に描かれています。

山梨県の反応

青木ヶ原はもともと「自殺の名所」として知られており、地域が映画の制作に対して懸念を抱くのも納得できます。2012年5月には、当時東京都知事だった石原が関東地方知事会で山梨県知事から「映画が自殺を助長するのではないか」との懸念を伝えられました。また、監督の新城にも同年6月に山梨県の担当者が訪れ、撮影中止が求められました。石原はこの映画を「現代社会における人間の生きる尊厳に疑問を投げかける作品」と位置づけています。

最終的に、山梨県は青木ヶ原でのロケを認めず、撮影は静岡県側の富士山麓で行われました。公開直前には上映中止を求める意見も寄せられるなど、地域との摩擦が製作の背景にありました。

受賞歴

『青木ヶ原』は、第23回日本映画批評家大賞の編集賞を井上秀明が受賞しました。映画が提起するテーマは、多くの人々にとって考えさせられるものとなっています。

まとめ

『青木ヶ原』は、純愛と生死をテーマにした心に残る作品であり、石原慎太郎の懸念と地域の声を踏まえながら、映画化されています。視聴者に対し多くのメッセージを届ける力強い作品となっています。

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