青木彰

青木彰：ジャーナリズムと教育に捧げた生涯

青木彰（あおき あきら）は、1926年7月4日に生まれ、2003年12月16日に亡くなった日本のジャーナリストであり、コミュニケーション学者、メディア評論家です。産経新聞社での長年の勤務と、筑波大学や東京情報大学での教鞭を通じて、日本のメディア界に大きな足跡を残しました。

生い立ちとキャリアの始まり

東京で生まれた青木は、元海軍大佐を父に持ち、東京府立六中から海軍兵学校に進みました。しかし、終戦により急遽卒業という形になりました。その後、東京大学文学部教育学科を卒業し、1949年に産業経済新聞社に入社しました。

産経新聞での活躍

産経新聞社では、社会部記者としてキャリアをスタートし、東京本社社会部長、大阪、東京編集局長などを歴任し、取締役にも選任されました。社会部記者時代には、ジャーナリストとしての確固たる基盤を築き、その後の活躍を支えました。

編集局長時代には、産経新聞社長に復帰した鹿内信隆から、息子春雄の教育係を依頼されましたが、これを断り、1977年にフジ新聞社社長に就任しました。しかし、1年後には産経を去る決断をします。青木の退社は、社内に残っていた反鹿内派の勢力を弱める結果となりました。

教育者としての情熱

産経新聞社を退社後、1978年に筑波大学現代語・現代文化学系教授に就任した青木は、マスコミ業界を志望する学生のために「青木塾」という私塾を開設しました。この塾からは、250人以上の卒業生を輩出し、そのうち80人近くがメディア業界に進みました。青木塾は、単なる知識の伝達ではなく、学生一人一人と向き合い、その成長を促す場でした。筑波大学では、青木塾の卒業生が講師を務めるオムニバス形式の講座が開講され、彼の教育理念が受け継がれています。

1990年に筑波大学を退官した後は、東京情報大学経営情報学部長、朝日新聞紙面審議会メンバー、日本放送協会情報公開審議委員会委員長などを務めました。

人間関係と晩年

青木は、産経新聞出身の作家司馬遼太郎と親交が深く、司馬遼太郎財団常務理事も務めました。また、妻の佐々木すみ江は女優であり、忙しい生活の中でも夫婦の絆を大切にしていました。2003年4月に癌の告知を受けた後、夫婦で旅行を計画していた矢先に亡くなりました。

青木の葬儀委員長は、当時産経新聞社長であった清原武彦が務めました。塾生を代表して、原田亮介（当時日経ビジネス編集長）が弔いの言葉を述べ、「結婚、就職から離婚の相談まで、一人一人とは父と子の関係だった」と、青木との深い絆を語りました。

著書

青木彰は、その生涯を通じて多くの著作を残しました。

• - 『私のメディア評論 見る読む叱る』（東京新聞出版局、1994年）
• - 『新聞との約束―戦後ジャーナリズム私論』（日本放送出版協会、2000年）
• - 『新聞力』（東京新聞出版局、2003年）
• - 『司馬遼太郎と三つの戦争 戊辰・日露・太平洋』（朝日選書、2004年）

これらの著作は、彼のメディアに対する深い洞察と、ジャーナリズムへの情熱を伝えています。

関連書籍

青木塾の塾生たちによって編纂された書籍『ジャーナリズムの情理ー新聞人・青木彰の遺産』（産経新聞出版、2005年）は、彼の思想や教育に対する姿勢を深く理解する上で重要な資料となっています。

まとめ

青木彰は、ジャーナリスト、教育者として、日本のメディア界に大きな影響を与えた人物です。彼の残した遺産は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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