青木湯之助

青木湯之助（郷宏之）：紅花創業者、波乱万丈の生涯

青木湯之助（あおき ゆのすけ、芸名：郷 宏之（ごう ひろゆき）、1906年 - 1979年）は、日本の実業家、俳優、そしてタップダンサーとして多彩な才能を発揮した人物です。特に、世界的なレストランチェーン「紅花」（BENIHANA）の創業者として知られています。和歌山県出身。

生い立ちと初期の活動

青木湯之助は、紀州徳川家ゆかりの士族の家に生まれました。15歳で家出し、大阪で旅芸人一座に拾われたことが、彼の芸能人生の始まりでした。タップダンサー稲葉実に師事し、大正末期から昭和初期にかけて、俳優やタップダンサーとして活躍しました。この時期に、彼は妻となる、かつと出会い結婚しました。

事業家としての出発

1937年、青木は日本橋にジャズ喫茶「エリントン」を開業し、事業家としての第一歩を踏み出します。終戦後、焼け野原となった東京で汁粉屋「紅花」を開業したことが転機となり、コーヒーショップやレストランなど、多角的な経営へと進出。「紅花」という店名は、焼け野原に咲く一輪の赤い花を、妻かつが見つけたことに由来します。

アメリカンドリームの実現

洋食屋「紅花」の客であった日系二世の商社社長・前岡正美との出会いが、青木の人生を大きく変えました。前岡との交流をきっかけに、1955年以降、4回にわたり渡米。そして1964年、妻や息子たちと共にニューヨークのマンハッタンに「BENIHANA OF TOKYO」1号店をオープンします。日本から合掌造りの梁や柱を運び込み、内装に使うなど、日本らしさを取り入れた店舗は、瞬く間に人気を集めました。その後、2号店を東56丁目に、3号店をシカゴに開店し、西海岸へと店舗を拡大していきました。

1971年には、「BENIHANA OF TOKYO」とは異なる業態の「GASHO OF JAPAN」を四男の青木四郎と共に開業しました。

その後

1979年12月27日、青木湯之助は73歳で生涯を閉じました。

著書

青木湯之助は、その波乱万丈な人生と経営哲学を数々の著書に残しています。

『東京で儲けた私』（1957年、学風書院）
『千客万来』（1959年、日本の百人全集第9巻、東京学風書院）
『ニューヨークで儲ける私 ― レストラン主人の欧米見聞記』（1960年、学風書院）
『私なら知恵で売る ― ベニハナ集団の勇気の物語』（1969年、日本経営出版社）
『見ろ！痛快に！儲ける！俺はアメリカで大暴れ』（1974年、ベストセラーシリーズ、ワニの本、KKベストセラーズ）
『水商売の天才戦術 ― コーヒーとステーキで儲けろ！』（1978年、ベストセラーシリーズ、ワニの本、KKベストセラーズ）

関連事項

紅花
BENIHANA
和歌山県出身の人物一覧

外部リンク

紅花

青木湯之助の生涯は、日本のエンターテインメントと食文化を世界に広めた、不屈の精神を持つ人物の物語として、今も多くの人々に感銘を与え続けています。

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