青木隆

青木隆：誤審と和解を経て、再びピッチへ

青木隆氏は、1959年1月5日生まれ、岡山県出身のサッカー審判員です。1994年に1級審判として登録され、長年にわたりJリーグの副審として活躍しました。

高校サッカー決勝での誤審

青木氏の審判キャリアにおいて、大きな転機となったのは、2002年11月10日に行われた第81回全国高等学校サッカー選手権大会岡山県予選決勝での出来事でした。この試合で作陽高校と岡山県立水島工業高校が対戦。延長戦において、作陽高校の青山敏弘選手が放ったシュートがVゴールとなるべき場面で、青木氏はこれを誤ってノーゴールと判定してしまいます。

試合はPK戦までもつれ込み、最終的に水島工業高校が優勝を飾りました。しかし、青木氏の誤審は大きな波紋を呼び、11月14日には日本サッカー協会（JFA）が誤審を認めました。それでも試合結果は覆らず、再試合も行われませんでした。

水島工業高校の選手の中には、複雑な思いから出場を辞退したいという声も上がりましたが、最終的には出場を果たしました。この事態を重く見た当時のJFA会長、川淵三郎氏は、全国選手権開会式の際に水島工業高校を訪れ、一連の騒動について謝罪しました。

青木氏はJFA審判委員会から3ヶ月間の謹慎処分を受けました。その後、岡山県審判委員会からの復帰要請を受け、2003年にJリーグ副審として復帰を果たしました。

10年後のOB戦、そして和解へ

誤審から10年後の2012年12月、当時の作陽高校と水島工業高校の選手たちはOB戦を開催し、交流を深めました。さらに12年が経過した2024年、当時サンフレッチェ広島に所属していた青山敏弘選手が現役を引退したことを受け、同年12月22日に再びOB戦が行われました。この試合で、青木氏は主審を務め、過去の誤審から22年の時を経て、両チームの選手たちと和解を深めました。

青木隆氏の審判人生は、一つの誤審をきっかけに大きな苦難を経験しましたが、最終的には当事者たちが互いを尊重し、和解するという感動的な結末を迎えました。この出来事は、スポーツにおける審判の責任の重さと、人間関係の修復の可能性を示唆するものではないでしょうか。

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