青木靖三

青木靖三（あおき せいぞう）は、1926年2月7日に東京府で生まれ、1977年12月27日に亡くなった日本の科学史家です。神戸大学教養部教授として教鞭を執り、ルネサンス期の科学史、特にガリレオ・ガリレイの研究において多大な功績を残しました。

人物

青木靖三は、神戸経済大学経済学科を卒業後、神戸大学文理学部助教授を経て、同大学の教養部教授に就任しました。彼の研究は、単に過去の科学的事実を羅列するのではなく、それらが現代社会にどのように影響を与えているのかを深く考察するものでした。特にガリレオ・ガリレイの研究においては、その生涯と業績を詳細に分析し、近代科学の発展におけるガリレオの重要性を明らかにしました。

研究業績

青木靖三の研究は、ルネサンス期の科学思想、特にガリレオ・ガリレイの業績に焦点を当てています。彼はガリレオの著作を深く読み解き、その科学的思考の核心を捉えようと努めました。また、ガリレオだけでなく、デカルトやマルクスといった他の思想家たちにも目を向け、科学史全体を多角的に捉える視点を持っていました。彼の研究は、科学史研究における重要な基礎となり、後の研究者たちに大きな影響を与えました。

著書

青木靖三は、自らの研究成果を多くの著書として発表しました。代表的なものには、ガリレオの生涯と業績を解説した『ガリレオ・ガリレイ』（岩波新書）があります。この著書は、ガリレオの研究における入門書として、広く読まれました。また、『世界の思想家6 ガリレオ』（平凡社）では、ガリレオの思想を深く掘り下げ、彼の業績を現代社会に照らし合わせて解説しました。さらに、『ガリレイの道 近代科学の源流』（平凡社選書）では、ガリレオが近代科学の発展にどのように貢献したかを論じ、その思想の源泉を明らかにしました。

翻訳

青木靖三は、翻訳家としても活躍しました。デカルトの『屈折光学』をはじめ、アンリ・ルフェーヴルの『デカルト』、オーギュスト・コルニュの『マルクスと近代思想』、ガリレオ・ガリレイの『天文対話』など、数多くの翻訳を手がけました。これらの翻訳を通じて、海外の科学史研究を日本の読者に紹介し、日本の科学史研究の発展に大きく貢献しました。特にガリレオの『天文対話』の翻訳は、ガリレオの思想を日本語で理解するための貴重な資料となっています。また、A.C.クロムビーの『中世から近代への科学史』、リン・ホワイトの『機械と神』など、幅広いテーマの翻訳を手がけ、日本の科学史研究の視野を広げました。

晩年

青木靖三は、その生涯を科学史の研究と教育に捧げました。彼の研究は、単に過去の科学的事実を記述するだけでなく、その歴史的背景や社会的影響を深く考察するものでした。彼の業績は、日本の科学史研究に大きな足跡を残し、多くの研究者に影響を与え続けました。青木靖三の功績は、彼の著書や翻訳を通じて、これからも長く語り継がれていくでしょう。

参考

* 青木靖三教授年譜・著作目録 (青木靖三追悼特集号) 「近代」1978年6月

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