静岡マラソン

静岡マラソン（しずおかマラソン、Shizuoka Marathon）は、静岡県静岡市内で例年開催される大規模な市民マラソン大会です。正式名称にはその年の開催年が冠され、例えば初回大会は「静岡マラソン2014」と呼ばれました。原則として例年3月上旬に開催されてきましたが、他の大規模大会との兼ね合いで日程が変更された例もあります。

沿革と歴史

本大会の前身は、1976年から開催されてきた「静岡駿府マラソン」です。この大会は最長でもハーフマラソンの距離でしたが、地域におけるランニング文化の発展とともに、より長い距離へのニーズが高まりました。これを受け、2014年にフルマラソンの距離（42.195km）へとスケールアップし、「静岡マラソン」として新たなスタートを切りました。

しかし、その歴史は順風満帆ではありませんでした。2020年から2022年にかけては、全世界的に流行した新型コロナウイルス感染症拡大の影響を直接受け、3年連続で大会が中止に追い込まれました。さらに、2022年8月には、感染対策に必要な費用に加え、人件費や物価の高騰などが運営費を圧迫し、大会の継続が困難であると判断されたことから、一度は「休止」が発表される事態となりました。

この休止発表に対し、多くのランナーや市民から再開を望む声が寄せられました。こうした状況を受け、静岡市は大会の重要性を再認識し、再開に向けた検討を進めました。その結果、2023年5月には、静岡市が2023年度の一般会計6月補正予算案において、大会再開を支援するための負担金として1億円を計上する方針を固めました。この市の支援方針が決定打となり、2024年春に5年ぶりの大会開催が実現する見通しとなりました。

大会運営体制

静岡マラソンの運営は、「静岡マラソン実行委員会」が中心となって担っています。実行委員会は、静岡市、静岡商工会議所、一般財団法人静岡陸上競技協会、公益財団法人静岡市スポーツ協会、静岡朝日テレビといった地域の主要な組織や団体で構成されています。さらに、地域と歴史的な繋がりが深い「全国家康公ネットワーク」が共催として名を連ね、静岡県中部陸上競技協会が主管団体として、主に競技運営面の実務を担当しています。

種目とコース紹介

大会には複数の種目が設けられており、幅広い層のランナーや市民が参加できます。

マラソン（フルマラソン）：大会のメイン種目です。距離は42.195kmで、定員は12,000人。スタート時間は8時20分。申し込み時の申告タイムを参考に、スタート時の待機ブロックが割り振られます。制限時間は5時間30分（号砲基準）。参加資格は、大会当日満18歳以上の男女（高校生不可）で、日本陸連登録の部と一般の部があります。参加料は10,000円（税込）です。
ファンラン：10kmの短い距離を楽しむ種目です。定員は1,000人。スタート時間はフルマラソンと同じ8時20分ですが、安全確保のため後方からの同時スタートとなります。制限時間は1時間30分（号砲基準）。参加資格は、大会当日満15歳以上の男女（中学生不可）。参加料は3,000円（税込）です。
* 小学生の部：小学生を対象とした種目で、距離は3.2kmです。定員は1,000人。スタート時間は11時00分で、小学6年生を先頭に、5年生、4年生の順番でスタートします。制限時間は25分（号砲基準）。参加資格は小学4年生から6年生までの男女児童。参加料は1,000円（税込）です。

フルマラソンのコースは、静岡市役所葵区役所前をスタートし、浅間神社や駿府城公園といった市街地の名所を巡ります。その後、安倍川を渡り、南安倍川橋、久能山下を通過。海岸線沿いの風光明媚な区間を走り、駒越を経て清水駅前がゴールとなります。市街地の景観と海沿いの景色を同時に楽しめる、変化に富んだ魅力的なコースとして知られています。

参加申込と受付

エントリーは主に先着順で行われてきました。大会の受付方法については、初期の大会では前々日や前日に会場での受付が必要でしたが、よりスムーズな大会運営と参加者の利便性向上のため、第2回大会からは事前受付が廃止され、大会の約1ヶ月前を目途に参加セット一式が参加者へ郵送される方式に変更されました。

テレビ中継とメディア露出

大会の模様は、主催団体の一つである静岡朝日テレビによってテレビ中継されてきました。放送は通常、午前10時から開始され、途中ニュースを挟んで午後12時50分まで放送される構成でした。中継時間帯の一部は録画放送で、レース終盤は生中継となる形式がとられていました。テレビ朝日系列の一部の通常番組のネットを見送って時間を確保するなど、地域における大会への注目度の高さがうかがえます。ただし、大会中止に伴い、テレビ中継も中断されていました。過去の大会では、増田明美氏のような著名なスポーツジャーナリストや、地元の陸上関係者などが解説者として招かれています。

その他の規定

安全で円滑な大会運営のため、参加者にはいくつかの規定が設けられています。特筆すべき点として、大会では仮装しての出走は禁止されています。

静岡マラソンは、多くのランナーにとって自己ベスト更新を目指す場であると同時に、静岡の街を楽しみながら走ることができる、地域に根ざした重要なスポーツイベントです。

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