静岡蒸溜所

静岡蒸溜所の紹介

静岡蒸溜所は、静岡県静岡市葵区にあるジャパニーズ・ウイスキーの蒸留所です。この蒸留所は、静岡の地元産素材にこだわる方針を採用し、世界で唯一の薪を使用した直火加熱式の単式蒸留器で生産を行っています。これにより、特有の風味や香味が生まれることが期待されています。

歴史

静岡蒸溜所は2016年に中村大航によって設立され、ウイスキーの生産を開始しました。その起源は2012年にさかのぼります。中村は当時、再生可能エネルギー事業に取り組んでおり、その合間にスコットランドのアイラ島を訪問した際、キルホーマン蒸溜所のような小規模な蒸留所で質の高いウイスキーが造られていることに感銘を受けました。帰国後は、ウイスキー製造に関する知識を習得するため、国内の蒸留所や酒類メーカーを研究し始めました。

2013年には酒類の輸入業務を開始し、インディペンデント・ボトラーの正規代理店となりました。これにより、ウイスキー業界内での認知度を高める基盤が築かれました。2014年には静岡市内で蒸留所用地を確保し、必要な設備の発注も進められました。その結果、2016年には蒸留所が完成し、ウイスキーの生産が開始されました。

製造

静岡蒸溜所では、静岡の土壌に根付いたウイスキー造りを追求しており、静岡産の木材や大麦を使用しています。年間の生産量は約7万リットルです。特に、麦芽にはノンピートのものに加えて、静岡産大麦も使用されています。仕込み水は中河内川の伏流水を使い、ウォッシュバックは静岡産杉を用いたもので、独特の香味を生み出す工夫がされています。使用する酵母も、ウイスキーおよびビールの醸造用に開発された独自のものです。

蒸留プロセスは特にユニークで、2基の初留器と1基の再留器が使用されます。初留器「K」は1975年に製造されたもので華やかな風味を持つスピリッツが特徴。一方、初留器「W」は唯一の薪による直火加熱式を採用しており、厚みのある酒質が生まれます。

熟成

静岡蒸溜所では、2つの熟成庫があり、合計で3,800樽のウイスキーを熟成することが可能です。主にバーボン樽で熟成されるため、静岡蒸溜所のウイスキーには豊かな香りが吹き込まれます。周囲の温暖な気候を活かし、熟成庫の設計にも工夫が施されています。

製品ラインナップ

静岡蒸溜所の製品は、2020年に初めてリリースされた「静岡プロローグK」を皮切りに、多様なラインアップをそろえています。「プロローグW」や「コンタクトS」、また最近の「ブレンデッドM」などが続き、これらはその年によって本数限定で販売されることもあります。特に「S」シリーズは今後の主力商品として期待されています。

風味と評価

創業者の中村は、静岡蒸溜所のウイスキーが持つ味わいについて、「華やかさと程よい質感のバランスが取れたものになることを期待している」と語っています。これにより、静岡蒸溜所は静岡らしい風味を大切にしつつ、国内外での評価を高めていくことを目指しています。

静岡蒸溜所は、伝統的なウイスキー製造方法と地域資源を活用する革新的なアプローチにより、ジャパニーズウイスキーの新しい可能性を切り拓いています。

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