静的型付け

静的型付けとは

静的型付け（英: static typing）とは、プログラミング言語における型システムの分類の一つで、変数の型やオブジェクトの型といった型情報をプログラムの実行前、すなわちコンパイル時に検証する方式を指します。この検証は、ソースコードの解析を通じて行われ、変数への代入、関数の適用、型変換などの操作が型安全かどうかをチェックします。型エラーが検出された場合、多くはコンパイルエラーとなり、プログラムの実行前に問題を修正することが求められます。

動的型付けとの対比

静的型付けの対義語として、動的型付けがあります。動的型付けでは、型の検証はプログラムの実行時、つまりランタイムに行われます。実行時型情報（RTTI）などを利用して型の安全性を確認するため、実行時まで型エラーが発見されない可能性があります。

静的型付けの概要

静的型付けを採用した言語では、プログラム内で使用される変数やサブルーチンの引数、返り値など、すべての値について、その型がプログラムの実行前に確定します。これにより、型に関するエラーを早期に発見し、プログラムの信頼性を向上させることができます。静的型付けの言語は「静的型付き言語」と呼ばれます。

型推論の機能を持つ言語も静的型付けに分類されます。型推論とは、変数の型を明示的に記述しなくても、コンパイラが文脈から自動的に型を判断する機能です。例えば、ML系言語などがこれに該当します。

静的型付けのバリエーション

静的型付けといっても、その実装は言語によって異なります。手続き型言語やオブジェクト指向言語では、静的に型が付けられていても、キャストなどの操作によって型の整合性が損なわれる場合があります。また、ミュータブル（変更可能）な値を利用する際には、不正な参照が発生するリスクも残ります。リフレクションを多用する設計では、動的型付けとほぼ同じような柔軟性を持たせることも可能です。

静的型付けと動的型付けの境界

このように、静的型付けと動的型付けの境界は必ずしも明確ではありません。それぞれの特徴を理解し、プログラミングの目的に合わせて適切な型システムを選択することが重要です。

静的型付けの利点

早期のエラー検出: コンパイル時に型エラーを検出できるため、実行時のエラーを減らし、プログラムの信頼性を高めることができます。
パフォーマンスの向上: 型情報がコンパイル時に判明するため、実行時の型チェックを省略でき、パフォーマンス向上が期待できます。
コードの可読性向上: 型情報を明示することで、コードの意図が伝わりやすくなり、可読性が向上します。
リファクタリングの容易性: 型情報が明確であるため、大規模なコードのリファクタリングが容易になります。

静的型付けの欠点

柔軟性の低下: 動的型付けに比べて、型の制約によりコードの柔軟性が低下する場合があります。
学習コスト: 静的型付けの概念を理解し、適切に利用するには、一定の学習コストが必要です。
コード量の増加: 型を明示的に記述する必要があるため、コード量が増加する場合があります。

関連用語

型システム: プログラミング言語における型の扱い方を定義するシステム。
* 動的型付け: プログラムの実行時に型の検証を行う型システム。

静的型付けは、大規模なアプリケーションや信頼性が求められるソフトウェア開発において、その有効性を発揮します。適切な型システムの選択は、プロジェクトの成功に不可欠な要素と言えるでしょう。

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