静間川

静間川（しずまがわ）は、島根県大田市を流れる主要な二級河川であり、その流域面積は県内でも三隅川に次いで大きいことが特徴です。本河川は両岸に美しい風景を抱えながら急速に流れ、地域の自然環境や経済に重要な役割を果たしています。静間川の源流は大田市三瓶町の池田にあり、三瓶山の西側の斜面と茶臼山との谷間で発生しています。ここから川は西へ向かって流れ出し、水源近くはあり幅狭の盆地です。川は大江川を加えた後、渓谷を形成して流れ続けます。

島根県道30号三瓶山公園線が川の流路に沿って設けられており、南から流入する支流を集めながら徐々にその流量を増していきます。瓜坂付近に来ると周囲の景観が開けてきて、忍原川との合流点では川幅が一層広がります。吉永の手前からは流れの方向を徐々に北から西へ変え、複数の二級河川が合流しつつ北西へと進行します。川の流路沿いには小規模な集落が点在しており、流域人口は比較的少ないものの、静間川は大田市の生活に欠かせない存在です。

静間川の治水対策は19世紀半ばにさかのぼります。1951年には中小河川の改修事業が認可され、1956年度から施工が開始されました。この改修では旧来狭い河川幅を大幅に拡幅し、護岸の整備も行われました。施工延長は10.15キロメートル、総事業費は1,556百万円にのぼり、1989年までに完成しました。また、支流の忍原川でも1980年代にわたって改修工事が実施されました。特に三瓶川では三瓶ダムが建設され、流域の治水と農業用水の確保にも寄与しています。

静間川流域は豊かな農作物で知られ、古くから営農が盛んな地域です。農業用の固定堰が数多く築かれていましたが、1970年代の豪雨によって流出する事態が相次いだため、可動堰へと付け替えが行われました。しかし設備の老朽化も進行中であり、農業用河川工作物の応急対策事業として改修が行われております。なお、島根県内では静間川の河川整備基本方針が今も策定されていないのが現状です。

水質に関する問題も浮上し、初めは陶土採掘が汚濁の原因と考えられていましたが、実際は生活排水や農業肥料の流入が主因であることが判明しました。2000年代には水質管理が強化され、水質保全のために下水道が整備されてきました。現在では冷水源地としての利用も多くなり、水質は改善されています。

支流には、池田川、大江川、仲上川などがあり、それぞれが静間川に流入しています。流域には多くの橋が架かっており、交通の要所としても利用されています。このように静間川は自然、農業、交通において多くの役割を果たしており、地域に根付いた水の存在として大切にされています。

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