非可逆リズム

非可逆リズム (rythme non-rétrogradable)

非可逆リズムとは、音楽用語で「逆行できないリズム」を指します。フランス語では "rythme non-rétrogradable"、英語では "non-retrogradable rhythm" と呼ばれます。

概要

非可逆リズムは、時間的に対称な構造を持つリズムです。これは、リズムを構成する音符の順序を前後反転させても、元のリズムと同一になるという性質を意味します。 言い換えれば、回文のように、最初から読んでも最後から読んでも同じになるリズムです。

物理学などで用いられる「不可逆」「非可逆」という言葉は、元の状態に戻せない現象を指しますが、非可逆リズムの場合は、リズムを逆行させても変化しないという点で、意味合いが異なります。

具体例

例えば、以下のようなリズムが非可逆リズムの例として挙げられます。

(例：8分音符 - 16分音符 - 16分音符 - 8分音符)

このリズムを逆から再生すると、(8分音符 - 16分音符 - 16分音符 - 8分音符)となり、元のリズムと全く同じになります。 他にも様々な非可逆リズムを構成することが可能です。

オリヴィエ・メシアンによる使用

フランスの作曲家オリヴィエ・メシアンは、非可逆リズムを自身の楽曲に多用したことで知られています。彼は、音楽に複雑な構造と深みを与えるために、非可逆リズムを効果的に活用しました。

メシアンは、移調の限られた旋法など、独特な音楽語法を追求した作曲家であり、非可逆リズムもその手法の一つとして重要な位置を占めています。彼の作品を通して、非可逆リズムの魅力と可能性を深く理解することができます。

まとめ

非可逆リズムは、時間的な対称性を持つ特殊なリズム構造であり、オリヴィエ・メシアンをはじめとする作曲家によって、楽曲に独特な色彩を添えるために用いられてきました。その構造を理解することで、より深く楽曲を味わうことができるでしょう。

関連項目

* 移調の限られた旋法

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