非和声音

非和声音とは

非和声音（ひわせいおん、英: nonchord tone, nonharmonic tone）とは、メロディにおいて和音の構成音から外れた音を指し、和音の華やかさや表現力を高めるために古くから用いられています。これらの音は、通常、和声音（和音の構成音）に進行して解決されます。例えば、ある和音が響いているとき、その次に続く非和声音は、その和音の特徴から外れた音であるため、特に注意を引く役割を果たします。

非和声音の歴史と使い方

非和声音は、音楽の歴史において非常に重要な役割を果たしてきました。16世紀の対位法音楽においても、その使用が確認されており、特にパレストリーナ様式においては、経過音や掛留音などの非和声音が巧みに使われています。彼らは、メロディの流れにおける表現力や美しさを増幅させるためにこれらの音を選び、意図的に配置しました。

非和声音の分類

非和声音はさまざまな種類に分類されており、用途や音楽のスタイルによって異なる呼び名が存在します。以下では、一般的な分類について詳しく紹介します。

1. 刺繍音（ししゅうおん）

刺繍音は、周囲の和声音から2度進行して次の音に移り、また同じ長さで反対方向に2度進行して解決します。この音は、メロディの装飾として非常に多く用いられ、多くの場合、曲の緊張感を高める役割を果たします。

2. 経過音（けいかおん）

経過音は、和声音から非和声音に2度進んだ後、同じ方向に進んで解決する形を取ります。和音の流れの中で自然なつながりを提供し、音楽に対する流動感を保つための役割があります。

3. 倚音（いおん）

倚音は、和音が始まると同時に現れる非和声音で、次の和音に進行することなく2度進行して解決します。これは音楽の強勢を際立たせ、印象的な瞬間を生み出します。

4. 掛留音（けいりゅうおん）

掛留音は、同じ高音を持つ和声音と結合されて使われ、後続の音に向かって2度進行して解決します。これはサスペンションと呼ばれ、音楽表現において特に強い印象を与えることができます。

非和声音の進化

非和声音は、クラシック音楽だけでなく、ジャズやポピュラー音楽などのさまざまなジャンルでも用いられています。譜例で示されるそれぞれの非和声音は、異なる音楽のスタイルに応じて変化し続けています。特に、ジャズにおいては、テンション・ノートやアプローチ・ノートとして、非和声音の積極的な利用が見られ、メロディをさらに豊かにする手段として広く受け入れられています。

まとめ

非和声音は、現代音楽においても強力な表現力を持ち、音楽の多様性を生かすための重要な要素です。これらの音の理解と運用は、作曲や演奏において不可欠な技術となります。音楽家にとっては、非和声音の効果的な使用が、聴衆に対する感動をより一層引き立てる鍵となるでしょう。

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