非常灯

非常灯とは

非常灯は、火災に伴う停電時に、消防隊の救助活動を支援するために設置される防災照明器具です。初期段階の避難誘導を目的とする誘導灯とは、設置目的や耐熱性能が異なります。

構造

非常灯は、点灯方式によって以下の3種類に分類されます。

専用型: 通常時は消灯しており、停電時のみ点灯します。
組込型: 通常時用と非常時用の2つの光源を備えています。
併用型: 1つの光源を通常時は通常電源で、停電時は蓄電池で点灯させます。

非常灯は、蓄電池を内蔵しており（一部外付けのものもあります）、通常時は充電を行い、停電時には自動的に切り替わって点灯します。

日本における非常灯

日本では、非常灯（非常用照明器具）は建築基準法によって定められています。

設置義務

以下の建物には、非常灯の設置が義務付けられています。

劇場、病院、ホテル、博物館、百貨店などの特殊建築物
階数が3階以上で、延べ床面積が500平方メートルを超える建築物
延べ床面積が1,000平方メートルを超える建築物
無窓の居室を有する建築物

耐熱基準

誘導灯とは異なり、非常灯には耐熱性の基準が設けられています。従来の基準では、周囲温度140度に30分以上耐え、30分間の非常点灯時に床面1ルクス（蛍光灯は2ルクス）以上の照度を維持する必要がありました。しかし、2014年までの基準改正により、周囲温度70度に30分以上耐えることが基準となりました。最長で60分の耐熱性が求められる場合もあります。

蓄電池

蓄電池の寿命は4〜6年程度であるため、定期的な交換が必要です。非常灯の蓄電池は、定期的な点検が義務付けられています。

日本の非常灯には点検スイッチが取り付けられており、スイッチを入れると停電時と同じ状態になるため、正常に動作するかどうかを点検できます。点検スイッチは、紐を引っ張る形式のものが一般的です。

誘導灯との兼用

誘導灯は消防法で定められています。建築基準法と消防法の規定を満たしている器具は、非常灯と階段通路誘導灯として兼用できます。

欧州における非常灯

欧州では、2008年9月26日に新電池指令（2006/66/EEC）が施行され、一定基準以上の水銀やカドミウムを含む電池や携帯用電池の販売が禁止されました。ただし、非常灯を含む緊急時対応および警報システムは、この規制の対象外となっています。

関連項目

避難
誘導灯
常備灯
避難通路
火災
* 防災センター

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