非常用位置指示無線標識装置

非常用位置指示無線標識装置（EPIRB）について

非常用位置指示無線標識装置、通称EPIRB（Emergency Locator Transmitter）は、船舶が遭難した際に無線信号を発信するための装置です。これはGlobal Maritime Distress and Safety System（GMDSS）に基づいており、無線通信技術を駆使して海上の安全を確保する重要な機器として位置付けられています。EPIRBは、日本においても海上保安庁などの機関によってその重要性が認識され、適切な免許と規定に基づいて運用されています。

仕組み

EPIRBは、国際連合が定めたコスパス・サーサット・プログラムに基づいたもので、主に406MHzの周波数で信号を発信します。この信号は、人工衛星（コスパス・サーサット）を介して各国の主務管庁に送信され、船名や国籍の情報を含んでいます。それにより、捜索救助活動が迅速に行われることになります。EPIRBには手動発信と自動発信の2種類の発信方法があります。手動発信はスイッチを操作することによって行い、自動発信は水深4メートル以上で水圧を感知し、自動的に発信する仕組みが組み込まれています。

日本における規制と基準

日本では、EPIRBは電波法第37条および関連する施行規則によって規制されています。無線機器型式検定規則に合格した検定機器のみが使用可能であり、これにより安定した運用が確保されています。全ての検定機器には、自らが検定を受けたことを示す検定マークが表示される必要があります。EPIRBに関しては、特定の記号が割り当てられています。これにより信頼性のある機器の識別が可能となるのです。

日本の無線機器メーカー、三菱電機や日本[[無線]]などが、価格18万円から40万円程度で複数の製品を製造し、その機能と性能には高い信頼性が求められています。

旧技術基準の扱い

旧技術基準による無線設備に関しては、平成29年11月30日まで条件なしで免許が認可され、使用は平成34年11月30日まで可能とされています。この基準に基づき規定されている機器は、過去に検定に合格したものであり、今後は新規の免許取得が不可となる場合もあります。しかし、設置され続ける限り、既存の機器はそのまま使用することが認められているため、運用面では柔軟性が持たれています。

問題点と課題

しかし、EPIRBに関する問題も存在します。信号が遭難時に発信される仕組みは強力ですが、実際には誤作動や誤発信が多く、その割合は95%にも及ぶとされています。原因としては、子どもによるいたずらや、廃船の解体中にスイッチが誤って入れられることが挙げられます。また、操作方法は比較的簡素化されているものの、出港前にスイッチの切り替えを忘れたり、電池の消耗を避けるために通電防止の紙が挟まれたままだったりするケースも報告されています。これらの問題は、救助活動の際に本来の機能を果たせない可能性を高めてしまうのです。

まとめ

EPIRBは船舶の遭難時には非常に重要な役割を果たす装置であり、その発信信号は救助の迅速化に貢献します。しかし、技術的な問題や運用上の課題も存在し、これからのさらなる改善が求められています。正しい情報をもとに、有効に活用されることが望まれます。

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