非核平和都市宣言

非核平和都市宣言と非核宣言自治体の概念

非核平和都市宣言、または非核宣言自治体とは、地方自治体が自らを非核地帯と宣言し、核兵器の廃絶を内外に伝える活動を指します。このような宣言を行った自治体は「非核宣言自治体」または「非核自治体」として知られています。これらの宣言は、核戦争の脅威が高まる中で、住民の安全を守るために行われる異議申し立てとしての役割を果たすとされています。

歴史背景

日本で初めて非核自治体宣言を発表したのは、1958年に愛知県の半田市です。この宣言は、後に東京都港区や三島市などの他の自治体にも続いていきました。しかし、全国的な運動には至らなかったのが実情です。これには、「非武装都市」や「無防備地域」の考え方が関与していると指摘されています。

非核自治体の活動が本格的に始まったのは、1981年末にマンチェスター市から波及した英国の非核自治体運動が影響を及ぼしてからです。その翌年には、愛知県津島市や広島県府中町、沖縄県南風原町など、多くの自治体が非核宣言を行いました。マンチェスター市は、核兵器の破壊力を危惧し、その宣言が国内外の他の自治体にも広がることを願ったのです。

国際的な運動の拡大

1981年11月5日にマンチェスター市は非核宣言を行い、その後に全英および全世界の都市に呼びかける取り組みが始まりました。1984年には、同市で第1回非核自治体国際会議が開催され、その後もスペイン、イタリア、アメリカ、日本などで国際会議が行われました。これにより、非核自治体の理念が国際的に広まり、非核運動の一環として位置づけられるようになりました。

日本でも1982年に広島県府中町がシンポジウムを開催し、同年に「非核都市宣言自治体連絡協議会」が設立されました。この会議は後に「日本非核宣言自治体協議会」と改称され、会員数は286自治体に達しています。現在では日本全国の自治体の約89.3%が非核宣言を行っており、その数は1,604に上ります。

現在の動向

非核宣言残にとどまらず、核兵器排除を法律で定める非核条例を制定する自治体も増えてきました。例えば、神奈川県の藤沢市や長崎県の時津町などがこの条例を設けており、非核宣言に「脱原発」の条項を盛り込むケースも見受けられます。特に、2011年の福島第一原子力発電所の事故以降、脱原発の考えが広がる中で、このような傾向はより顕著になっています。

神戸市の港湾条例では、非核の証明なしには船舶の入港を許可しないという規定があり、これが国内外で注目を集めています。全国で非核港湾条例を制定するための市民運動も進行中です。

非核平和都市宣言やその運動は、住民の安全を守るための重要な手段として位置づけられており、現在もその意義は大きく、さまざまな形で進展が見られています。

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