靱蹴球場

靱蹴球場（うつぼしゅうきゅうじょう）の歴史と役割

靱蹴球場は、大阪府大阪市西区靱本町に位置したサッカー専用の球技場で、靱公園の西園内に1955年に設立されました。これは、戦災復興のために行われた土地区画整理事業の一環として開園したもので、当初から地域におけるサッカーの拠点としての役割を果たしてきました。

施設の概要

靱蹴球場には二つのグラウンドがありました。東側にはスタンド付きの芝生グラウンド、西側には土のグラウンドが存在しました。これらのグラウンドは鉄条網で区切られ、特別なイベントの際には一般に開放されることもありました。特に、西区民まつりのような行事では、両方のグラウンドが利用されることが多かったです。ただし、日常的には東側の芝グラウンドには有刺鉄線が設置され、立ち入りは禁止されていました。また、大阪市立花乃井中学校は1988年から1989年にかけて行われた体育館の新設工事の際、一時的にこのグラウンドを利用しました。

老朽化と閉鎖

1997年には、靱公園内の東園にある靱庭球場が国民体育大会のテニス競技会場として利用されることが決まり、さらに同年には靱テニスセンターが拡充されることによって靱蹴球場は次第にその役割を終えることとなりました。施設の老朽化も進んでいたことから、靱蹴球場は閉鎖され、後に解体されることが決定されます。サッカー関連の施設は靱公園から姿を消しましたが、大阪府サッカー協会は近隣のイトーダイ靱本町ビルに引き続き入居し、サッカーの活動を続けています。

移転と代替施設

1995年、靱蹴球場の跡地には靱テニスセンターが開設され、地域のスポーツ活動に寄与しています。新たなサッカーの拠点として、鶴見緑地球技場が2010年に開設されました。この施設には天然草のフィールドが تھاが、セレッソ大阪の希望により、長居球技場のフィールドが改修され、実質的に人工芝のフィールドが必要な球技に対応する形で、鶴見緑地のフィールドも改修されました。

開催された主要大会

靱蹴球場では、多くの重要な大会が開催されました。特に記念すべきは、1960年に行われた第40回天皇杯全日本サッカー選手権大会です。この大会は、大阪府内ではその後56年間、天皇杯決勝が行われない契機ともなり、地域におけるサッカーの歴史に深く刻まれました。また、全国高等学校サッカー選手権大会、さらに日本サッカーリーグの開幕戦など、数多くの大会がこの場で開催されました。

まとめ

靱蹴球場は、その誕生以来、地域サッカーの中心的な存在であり続けました。多くの大会を通じて、多くのサッカーファンや選手に愛され、地域とのつながりを築いてきた重要な施設でしたが、時代の変化とともにその役割を終えました。その後の施設として、テニスセンターや新たなサッカー場が開設され、現在も地域のスポーツ活動は活発に行われています。

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