韓国ドメインからの2ちゃんねるへのサイバーテロ事件

2010年3月1日発生 韓国ドメイン発 2ちゃんねるへの大規模DoS攻撃事件

2010年3月1日、正午過ぎから、韓国ドメイン（.kr）を起点とする大規模なDoS攻撃が、日本のオンライン掲示板サイト2ちゃんねる（現5ちゃんねる）に対して実行されました。この攻撃により、2ちゃんねるのサーバーがダウンし、長時間にわたるサービス停止という深刻な事態を招きました。被害額は約2億2千万円にのぼると推定されています。

事件の発端と背景

攻撃の背景には、バンクーバーオリンピックでのフィギュアスケート競技における採点への疑問や、それに関する2ちゃんねる上での書き込みへの反発があったとみられています。韓国のオンラインコミュニティサイトでは、2ちゃんねるへの「報復」を目的とした攻撃計画が立てられ、多数のユーザーが参加しました。特に、韓国の民間外交使節団であるVANK（Voluntary Agency Network of Korea）の扇動が、攻撃の拡大に大きく影響したとされています。

攻撃参加者は、botnet（ボットネット）と呼ばれる多数のコンピューターを不正に操作する技術を利用して、2ちゃんねるサーバーに大量のアクセスを集中させました。この集中攻撃は、サーバーの処理能力を圧倒し、機能停止に追い込みました。

2ちゃんねるのサーバーを管理・運営するPIE社（Pacific Internet Exchange）は、攻撃の発覚後、サーバーを一時停止し、攻撃元IPアドレスからの通信を遮断することで、サービスを復旧させました。

被害状況

今回の攻撃により、2ちゃんねるの多くの掲示板が利用できなくなりました。特に、芸能やテレビ番組に関する掲示板への被害が大きかったとされています。中でも、dubaiサーバーは完全に故障し、データの復旧は困難と判断されました。他のサーバーへの掲示板の移転作業は数日間にわたって行われ、サービスの完全復旧には時間を要しました。

韓国側のサイトも、日本からの反撃を受けました。VANKのサーバーなど複数のサイトが攻撃を受け、アクセス障害が発生しました。しかし、韓国大統領府は日本のIPアドレスを遮断することで、被害を最小限に抑えました。

日韓両国の反応

日本側では、韓国からの攻撃に対して、「やり返したら同じレベルに落ちる」といった否定的な意見が多く、大規模な報復攻撃には繋がりませんでした。一方で、一部のユーザーによる断続的な反撃は行われました。

韓国側では、当初は攻撃を肯定的に捉える報道も見られましたが、PIE社の法的措置検討の発表後、メディアは攻撃への批判的な論調に転じました。

事件後の展開

PIE社は、FBIと協力して捜査を行い、攻撃に関わったIPアドレスなどの情報を収集しました。また、攻撃を呼びかけたブログなども特定されました。

今回の事件は、国際的なサイバー攻撃事件として注目を集め、ネット上の言論の責任や国際的なサイバーセキュリティ対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。また、日韓間のネット上の対立が顕在化した象徴的な事件ともいえます。

その他の関連事件

今回の事件は、2008年のグランプリファイナル後や、2010年2月の801板への攻撃など、過去の韓国人ネットユーザーによる2ちゃんねるへのサイバー攻撃と関連付けられるケースもあります。これらの事件は、ネット上の国際的な摩擦や対立が、現実世界での紛争に発展する可能性を示唆するものです。

まとめ

2010年3月1日の2ちゃんねるへの大規模DoS攻撃は、日韓両国のネットユーザー間の対立、そして国際的なサイバーセキュリティ問題の複雑さを示す象徴的な事件でした。この事件を通して、ネット上の言論の責任や、国際的な協力によるサイバーセキュリティ対策の重要性が改めて認識されることとなりました。今後のインターネット社会の平和と安全のために、この事件から学ぶべき教訓は大きいと言えます。

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