須賀神社大祭

須賀神社大祭：絢爛豪華な山車が彩る樫山の祭り

愛知県岡崎市樫山町に鎮座する須賀神社で、毎年4月第2日曜日に斎行される「須賀神社大祭」は、地域の人々にとって特別な意味を持つ祭りです。別名「樫山の山車祭り」とも呼ばれ、その歴史と文化的な価値から、岡崎市の無形民俗文化財に指定されています。

江戸時代から続く伝統

祭りの起源は江戸時代に遡るとされ、1875年（明治8年）の記録には当時の様子が記されています。元々は旧暦6月の祇園祭として行われていましたが、明治末期に4月14日へと変更され、現在では4月第2日曜日に開催されるようになりました。

かつては山車を保管する場所がなく、解体して神社の舞台に収納していましたが、1893年（明治26年）の火災で舞台と共に焼失してしまいました。現在の4台の山車は、1895年（明治28年）以降に再建または購入されたものです。

氏子による運営

祭りは、6つの氏子組によって運営されています。「原」と「宮北市」、「河瀬」と「仲」、「庄野」と「新居野」の各組が2組ずつ、3年交代で年番を務めます。1982年（昭和57年）には、神社に格納されている祭礼山車と祭り囃子が額田町（現在の岡崎市）の無形民俗文化財に指定されました。

祭りのハイライト

祭りの前日には、山車と神輿渡御の折り返し地点となる神明宮に舞台が設置され、餅と菓子の準備が行われます。当日、朝8時から年番組が神明宮と須賀神社の順に幟を立て、11時30分に山車のお祓いを行った後、年番組を先頭に宮出しとなります。4台の山車に続き、お手道具、神輿と続きます。

13時頃には、四叉路の辻で中休みとなり、河瀬組と宮北市組が合体した「花組」と合流します。花組はチャラボコ車で祭りに参加し、中休み場所では様々な余興が披露され、人々はそれを楽しみます。14時頃、神明宮に向けて出発し、神明宮では年番を務める二組がそれぞれ特設舞台でお囃子を披露します。これは「御照覧」と呼ばれています。

来た道を戻り、須賀神社に到着すると、宮入の合図として号砲花火が上がり、餅投げが行われます。

個性豊かな山車

祭りを彩る山車は、それぞれに異なる特徴を持っています。

竜神山車（原組）： 築造年月は不明ですが、重層構造で、上山には丸柱が4本あります。前山車の幅が狭く、両柱に白木の手長足長の彫物があるのが特徴です。お囃子は岡崎市の芸能家元「松葉屋」師匠から伝授されたものです。
鳳凰山車（庄野組）： 元々は能見神明宮大祭で使用されていた松本町所有の山車を1909年（明治42年）に購入したものです。修理を経て、重層構造で、上山には丸柱が4本あります。
恵比寿山車（仲組）： こちらも能見神明宮大祭で使用されていたものを購入したものです。2008年（平成20年）に金箔貼りなどの修繕が行われました。彫刻は豊川市で行われ、重層構造で、上山は丸柱3本（計6本型の三河型）です。鬼板に金箔を貼り恵比寿彫刻、前山車の扉と下山の彫刻周囲に螺鈿細工が施されているのが特徴です。
入船山車（新居野組）： 上山が焼失したため、焼け残った下山を使用して1895年（明治28年）に舟形の山車を築造しました。老朽化のため、1982年（昭和57年）に新築造されました。新若丸とも呼ばれ、重層構造で、上山は上下可動式、丸柱4本です。
* 花車（河瀬組・宮北市組）： 高浜市や碧南市からチャラボコを導入して山車として加えたもので、組の呼称である花組から名付けられたと言われています。桜の造花で飾られています。

須賀神社大祭は、地域の人々の熱意と伝統が息づく、貴重な文化遺産です。豪華絢爛な山車が町を練り歩き、祭り囃子が響き渡る光景は、訪れる人々を魅了し、忘れられない思い出となるでしょう。

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