風のおもかげ

アルバム『風のおもかげ』

1983年11月30日にリリースされた『風のおもかげ』は、シンガーソングライターさだまさしのソロ8枚目となるオリジナルアルバムです。この年はさだまさしのデビュー10周年にあたり、東京や大阪、名古屋で行われた記念コンサートで、当時までに発表したほぼすべての楽曲を披露しました。

アルバムの収録内容

アナログA面

• - 向い風: フジエソフトエクレアのCMソングとしても知られるこの楽曲は、さだの音楽活動を支えた吉田政美による依頼で制作されました。この曲には、困難に直面するさだへのエールが込められています。曲中に登場する「ヨットは逆風の力を受けて前進する」という言葉は、彼の心に響くものでした。恋人との別れを予感した女性の心情を優美に描写したバラードであり、後に多くのアーティストにカバーされています。

• - 上海物語: 戦間期の中国を背景にしたラブストーリーが展開されます。戦争によって引き裂かれる恋物語が主題で、さだの独特な感受性が表れています。

• - 安曇野: 長野県の美しい自然を舞台に、地元に残った男性と都会に出た女性の心の隔たりを描写しています。地域を思い出させる温かみのある歌詞が特徴です。

• - 甲子園: 夏の甲子園の準決勝の中継を背景に、喫茶店で向かい合う男女の心の動きを描いた軽快な楽曲です。

• - あこがれの雲南: さだが祖父母の故郷への想いを込めた楽曲で、彼らの歴史が彼自身の音楽活動に与えた影響が垣間見えます。

アナログB面

• - CONGRATULATIONS: 香ばしいコメディ要素を持つウェディングソングで、思いがけない結婚の知らせに騒ぐ男性たちの心情を描いています。

• - 孤独（ソリティア）: 愛する人を失った女性の深い愛情が表現されており、聴く人の心に感動を呼び起こします。

• - 転校生（ちょっとピンボケ）: 突然の転校生との甘く切ない思い出を少年の視点で描いた、青春の一ページが感じられる作品です。

• - 津軽: 冬の津軽地方を舞台にした曲で、昔の恋人への郷愁と切なさが滲み出ています。

• - 祈り: 被爆地である長崎出身のさだが、平和への願いを込めた楽曲で、コンサートではしばしば観客と一緒に歌われるシーンが印象的です。

参加したミュージシャン

アルバムにはさだまさし自身と、多数の腕利きミュージシャンが参加しています。リードボーカルをさだまさしが担当し、キーボードやギター、ストリングス、コーラスなどさまざまな楽器のアプローチで、多彩なサウンドが織り交ぜられています。特に、渡辺俊幸の編曲によって、各楽器が美しく調和し、さだの歌声を引き立てています。

このアルバムは、さだまさしの音楽的な成長と、彼の深い思索を垣間見ることのできる重要な作品として位置付けられています。

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