風の抄

『風の抄』について

『風の抄』（かぜのしょう）は、古山寛による原作と谷口ジローの美しい作画によって生まれた日本の漫画作品です。別名は『柳生秘帖』（やぎゅうひちょう）であり、各版によってタイトルに異同が見られますが、基本的には両方の名称を用いています。この作品は、1992年の『ヤングチャンピオン』誌で連載され、全8話が掲載されました。

作品の背景

物語は江戸時代初期、徳川幕府の安定を守るため、柳生一族が果たす役割と、幕府を覆そうとする後水尾上皇及び彼に従う徳川頼宣との緊迫した駆け引きを描写しています。主人公である柳生但馬守宗矩は、幕府の剣術指南役として必要な権限を持つキャラクターで、柳生一門の総帥でもあります。

あらすじ

物語は、大和国の古寺から「風の抄」が盗まれるところから始まります。この重要な文書は、幕府転覆の策略が記されているとされ、柳生但馬守宗矩は息子の柳生十兵衛三厳に、盗まれた「風の抄」の回収と黒幕の野望を打ち砕く任務を命じます。物語を通じて、十兵衛は様々な戦いを繰り広げ、名だたる剣士たちや忍びと対峙しながら、自らの使命を果たすために奮闘します。

登場人物

• - 柳生十兵衛三厳 : 柳生流の剣術の名手であり、父の命を受けて幕府の転覆を阻むため、「風の抄」を追い求めます。
• - 夜叉麿 : 後水尾上皇に仕える忍者で、盗まれた「風の抄」を持つ敵。武器として古代の剣を使う技術を誇ります。
• - 後水尾上皇 : 天皇親政を求めて幕府転覆を画策する人物で、多くの豪族に檄を飛ばします。
• - 月ノ輪の宮 : 後水尾上皇の娘で、十兵衛の過去の知人。
• - 徳川頼宣 : 徳川家康の十男で、幕府に対して反発する重要人物です。
• - 柳生六丸 : 十兵衛の弟で、兄と共に物語を進める重要なキャラクターです。
• - 柳生但馬守宗矩 : 柳生一族のリーダーで、幕府を守るために知恵を絞る姿が描かれています。
• - 勝海舟 : 物語の語り手で、幕府の崩壊を語る重要な役回りです。

制作の背景

この作品は、谷口ジローが初めて手掛けた時代劇の漫画であり、柳生十兵衛のキャラクターに関する谷口自身の提案がもとになっています。評価については、夏目房之介が「忍者物の要素が詰め込まれた作品で、戦闘シーンが楽しめる」と高評価をつけていますが、一方で盛り込みすぎの感もあり、消化不良な部分もあるとの意見も寄せられています。

書誌情報

• - 古山寛、谷口ジロー『風の抄 - 柳生秘帖』、秋田書店〈ヤングチャンピオンコミックス〉、全1巻、1992年8月発行。
• - 古山寛、谷口ジロー『柳生秘帖・風の抄』、秋田書店〈秋田コミック文庫〉、全1巻、2004年10月発行。
• - 古山寛、谷口ジロー『柳生秘帖 〜柳生十兵衛 風の抄〜』、リイド社〈SPコミックス〉、全1巻、2015年1月30日発行。

このように『風の抄』は、江戸時代を背景にした戦いの物語や人物同士の複雑な関係が描かれた作品です。彼らの選択が物語の進行に大きく影響し、刺激的な冒険が展開されます。

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