風俗画報

『風俗画報』の概要

『風俗画報』（ふうぞくがほう）は、1889年に創刊され、1916年までの27年間にわたって発行された日本初のグラフィック雑誌です。この雑誌は、全518冊、特別号も含まれており、その内容は江戸時代から大正時代にかけての多岐にわたる社会状況や風俗を取り上げています。

発行の経緯と目的

この雑誌は東京日本橋の東陽堂によって発行されました。『風俗画報』の目指したところは、当時の生活や文化、また戦争や文学、歴史、地理に関する情報を視覚的に解説することでした。特に、絵や写真を多用することで、読者にとって分かりやすく、また魅力的な形で情報を提供したのです。

多くの日本画家がこの雑誌に関わり、特に師弟関係にあった小林永濯や富岡永洗、その子弟たちの作品が多く掲載されました。彼らの技術により、雑誌は視覚的に美しいだけでなく、文化的な価値も高いものとなっています。

資料としての整備

『風俗画報』は情報量が豊富で、現在でも多くの研究資料として活用されています。国立国会図書館では、作成者不明の索引や目次をオンラインで公開しており、研究者や一般の人々がアクセスしやすい環境が整っています。これには、各巻の索引や画像データが含まれ、研究を行う上で非常に有用です。

具体的には、以下のような資料が存在します。

• - 『風俗畫報索引 卷1(ア行)』（1919年）
• - 『風俗畫報索引 卷2(カ行)』（1919年）
• - 『風俗畫報索引 卷3(サ行)』（1919年）
• - 『風俗畫報索引 卷4[(タ-ナ行)]』（1919年）
• - 『風俗畫報索引 卷5[(ハ-ワ行)]』（1919年）

これらの索引は、各巻の内容をしっかりと整理されており、クリックひとつでその内容にたどり着くことができるため、非常に便利です。また、冊子版としても多くの資料が出版されています。特に、1973年に復刻された東陽堂の版や、宮尾しげを編纂の作品が注目されています。

複製とオンライン版

『風俗画報』の作成を手助けする資料は、残念ながら創刊号以外は非常に希少です。1982年に出版された『複刻日本の雑誌 B』や、1997年と2002年に発行されたCD-ROM版は、読者に当時の内容を再現する試みとして重要です。また、マイクロフィルム版も存在し、国立国会図書館では全478号と増刊が収蔵されています。

さらに近年では、2013年からジャパンナレッジにおいて「Web版 風俗画報」が有償で公開されており、より多くの人々が手軽に利用できる状況が整いました。このオンライン版によって、今までアクセスが難しかった資料が、多くの人々に開かれることとなったのです。

結論

『風俗画報』は、日本の文化歴史を視覚的に伝える貴重な資料であり、その影響力は現代においても変わることなく、研究や教育の現場で重宝されています。その豊かな内容は、今なお多くの人々にインスピレーションを与え続けているのです。

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