風除室

風除室とは

風除室（ふうじょしつ）は、建物の出入口、特に玄関前に設置される小さな空間です。これは、外部からの空気の流入や風の吹き込みを和らげることを主な目的としています。一般的には「玄関フード」とも呼ばれます。

構造と機能

風除室の最も特徴的な点は、外部に通じる外扉と、屋内につながる内扉の二重構造です。この二重の扉があることで、どちらかの扉を開閉しても、外気が直接室内に流れ込むのを防ぎます。これにより、冬の冷たい空気や夏の暑い空気が室内に入るのを最小限に抑え、室内の温度を一定に保つ効果があります。

特に寒冷地においては、風除室は非常に重要な役割を果たします。雪が吹き込んでドアが開かなくなるという事態を防ぐことができます。また、台風が多い地域では、強風によってドアが急に開いてしまい、雨風が室内に吹き込むのを防ぐために役立ちます。

歴史的背景

住宅における風除室の起源は、積雪期に雪が玄関を覆ってしまうのを防ぐための「雪囲い」にあります。この雪囲いが進化し、建材メーカーが通年で使用できる製品として開発・販売するようになりました。特に北海道では、昭和50年代から一般住宅に風除室を設置することが広く普及しました。

用途別の対応

風除室は、その設置場所や目的に応じて異なる設計がなされます。

住宅：閉塞感を軽減するために、また表札などを見やすくするために、外側の壁や扉にガラスがよく用いられます。
スーパーマーケット：商品の品質を保つため、風、埃、排気ガス、虫などが直接商品に影響を与えないように風除室が設けられます。ただし、風除室内にも商品が陳列されることがあります。また、ショッピングカートを置く場所としても利用されます。
ホテルやオフィスビル：風除室の代わりに、回転ドアが使用されることがあります。これは、外気の流入を効果的に防ぐための別の方法です。

風除室は、住宅、商業施設、公共施設など、さまざまな場所で快適な空間を提供するために重要な役割を担っています。その設計と機能は、それぞれの建物の特性や必要性に合わせて最適化されています。

関連情報

エアロック：気圧の異なる空間の間で、気体の移動を制限する構造。風除室と類似の機能を持つ。
* 庇：建物の開口部の上に取り付けられる、日よけや雨よけのための構造。風除室と組み合わせて使われることもある。

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