飛田多喜雄

飛田多喜雄（ひだ たきお）

日本の国語教育学者。

1907年11月15日、千葉県山武郡豊成村（現在の東金市の一部）に生まれる。日本の国語教育研究に多大な功績を残し、特に国語教育の方法論に関する分野で知られる。成蹊大学文学部教授を長年にわたり務め、教育者としても後進の指導にあたった。

経歴と学問への道のり

1928年に千葉県師範学校を卒業後、教育の道に進む。市川尋常高等小学校の訓導として教職キャリアをスタートさせ、初等教育の現場で実践的な経験を積んだ。その後、成蹊学園に移り、1939年には成蹊小学校教諭、1947年には成蹊中学校教諭、1963年には成蹊高等学校教諭と、各段階の教育に携わった。これらの現場経験が、彼の国語教育方法論研究の確固たる基礎となったと言える。

教育現場での活動と並行して、研究活動も精力的に行った。1949年には国語教育に関する雑誌『実践国語』の編集長を務め、実践に基づいた研究成果を広く共有することに努めた。1970年には成蹊大学文学部の教授に就任し、教育現場での経験と理論研究を融合させた教育・研究を展開した。1978年に大学を定年退職した後も、研究活動は継続された。

国語教育方法論への貢献

飛田氏の研究の中心は、国語教育の方法論に置かれていた。子どもたちがどのように言葉を理解し、表現する力を養うか、そしてそれを効果的に教えるための方法は何かを深く探求した。彼の研究は、単なる知識の伝達にとどまらず、児童・生徒の思考力や創造性を引き出す実践的な指導法に焦点を当てていた。

特に読解指導においては、文字や言葉の意味を追うだけでなく、作品の形象を心に描き理解する「形象理解」や、文章の機能に着目した「機能的読解指導」などを提唱した。また、文章表現の能力開発にも力を入れ、書く意欲と力を育てるための指導法を研究した。

主要な著作と受賞

飛田氏の研究成果は、多くの著作として結実している。初期の教育現場での実践に基づいた指導書から、理論的な研究書まで、その著書は多岐にわたる。

代表的な著書としては、『国語教育方法論史』（1965年）が挙げられる。この著作は、国語教育の方法論の歴史を体系的に整理したもので、その学術的な価値が認められ、1965年に垣内松三賞を受賞した。また、長年の研究の集大成として刊行された著作集『国語科教育方法論大系』（全10巻、1984年）は、国語科教育方法論に関する広範な研究を網羅しており、1985年に石井賞（全国大学国語教育学会賞）を受賞するなど、教育界内外から高い評価を受けた。このほかにも、1974年には博報賞を受賞しており、その業績は広く認められている。

共編著も多数あり、他の研究者や教育者との共同研究を通じて、国語教育の発展に貢献した。学習指導要領の解説や、特定テーマに特化した指導法の開発に関する編著などがあり、教育現場での実践に役立つ多くの資料を提供した。

遺産

飛田多喜雄氏の研究と教育活動は、日本の国語教育に enduring な影響を与えている。彼の提唱した教育方法や理論は、その後の国語教育の実践や研究の基礎の一つとなっている。1991年2月8日に死去したが、その功績を記念して記念論文集が刊行されるなど、その業績は今なお語り継がれている。

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