飛行機の技術的要求条件の調査研究第六次（将来機基礎計画に関する研究）記事

大日本帝国陸軍による航空機技術の研究

1941年、日本の陸軍航空技術研究所（航技研）は当時の技術力をもとに、将来の航空機開発のための研究を始めました。その中心にいたのは安藤成雄航技中佐で、彼の指導のもと「飛行機の技術的要求条件の調査研究第六次」がまとめられました。この研究は、重戦闘機、軽爆撃機、司令部偵察機、重爆撃機、高速機といった様々な機種の性能を分析し、将来の航空機設計に活かすことを目的としていました。

研究内容の概要

研究の主要メンバーとして、遠藤嘱託、高尾嘱託、富田技手の三人が挙げられます。彼らは重戦闘機や軽爆撃機など、合計12の試案を作成し、最初の基礎図面を完成させました。しかし、最終的には試作品が完成することはありませんでした。これらの試案の多くは、当時開発中だった「ハ45」エンジンを搭載することを想定していましたが、重戦闘機以外は後に「ハ211」エンジンへの変更が計画されました。

各試案の詳細

試案重戦闘機

重戦闘機の第一案として、最大速度700 km/hを目標とした単座機が設定され、A型とB型の二つのタイプが用意されました。A型は操縦席が後方に位置し、引込脚は前脚3車輪式、一方B型は操縦席が前方寄りで、尾輪式の引込脚を採用しました。この設計は空気抵抗を抑え、運動性能を向上させることを狙いとしていました。

試案軽爆撃機

軽爆撃機に関しては、双発の高速機が提案され、計5案が作成されました。特に双胴形式が注目され、特殊高揚力装置を装備することで、性能を高さを狙った設計になりました。液冷エンジンと空冷エンジンの比較も行われ、最終的には空冷エンジンが選ばれることになりました。

試案司令部偵察機

この試案では、双胴と単胴の2種類が検討され、今回も特殊高揚力装置が使用されました。また、航空写真機を搭載するなど、偵察機としての機能を強化する設計が採用されました。

試案重爆撃機

重爆撃機については、戦闘機並みの速度を追求した設計が行われ、エンジンの配置を工夫した4発機が提案されました。主翼には特殊高揚力装置が施され、乗員数や武装についても多くの検討が行われました。

試案高速機

最後に、高速機の試案は、複座・大型の偵察機として設計され、速度性能が重視されました。また、この設計では重戦闘機としての可能性も模索されました。

まとめ

このように、1941年当初の日本の航空機設計に向けた試みは、技術的な要求とその実現に向けた多様な試案を生み出しましたが、最終的にこれらの機体は実現に至りませんでした。しかし、これらの研究は後の航空機設計に多大な影響を与えたと考えられています。

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