飛鳥高

飛鳥高（あすか たかし）

飛鳥高（本名：烏田専右）は、1921年2月12日に生まれ、2021年2月5日に亡くなった日本の小説家、推理作家です。山口県出身で、旧制山口高等学校、東京帝国大学工学部を卒業しました。彼は、小説家としての活動だけでなく、ポリテクニックコンサルタンツの社長や清水建設の常務取締役などを歴任し、コンクリート工学の論文も執筆するなど、多才な人物でした。

人物と経歴

飛鳥高は、工学博士（東京大学、1968年）の学位を持ち、一級建築士の資格も有していました。彼の経歴は、建設業界と文学界の両方にまたがっており、その多才さが際立っています。

1946年、飛鳥高は「犯罪の場」で探偵小説雑誌『宝石』の第1回懸賞募集に入選し、作家としてのキャリアをスタートさせました。1957年には、『背徳の街』（後に『疑惑の夜』と改題）が第3回江戸川乱歩賞の最終候補作となり、その才能が広く認められるようになりました。1962年には、『細い赤い糸』で第15回日本探偵作家クラブ賞を受賞しています。

作品の特徴

飛鳥高の作品は、緻密な構成と論理的な謎解きが特徴で、本格推理小説のファンから高い評価を受けています。彼の作品には、建設業界での経験や工学的な知識が反映されており、独特の世界観を作り出しています。

主な作品

長編

『疑惑の夜』（1958年、後に映画化）
『死を運ぶトラック』（1959年、後に映画化）
『甦える疑惑』（1959年）
『灰色の川』（1961年）
『死にぞこない』（1960年）
『崖下の道』（1961年）
『細い赤い糸』（1961年、日本探偵作家クラブ賞受賞、複数回映像化）
『虚ろな車』（1962年）
『顔の中の落日』（1963年）
『死刑台へどうぞ』（1963年）
『ガラスの檻』（1964年）
『青いリボンの誘惑』（1990年）

短編集

『犯罪の場』（1959年）
『黒い眠り』（1960年）
『飛鳥高名作選 犯罪の場―本格ミステリコレクション〈1〉』（2001年）
『飛鳥高探偵小説選Ⅰ～Ⅵ』（2016年～2022年）

アンソロジー収録作品

飛鳥高の作品は、数多くのアンソロジーにも収録されています。その中でも「犯罪の場」は特に多くのアンソロジーに収録されており、彼の代表作の一つと言えるでしょう。

「金魚の裏切り」
「犯罪の場」
「二粒の真珠」
「加多英二の死」
「孤独」
「犠牲者」
「暗い坂」

映像化作品

飛鳥高の作品は、映画やテレビドラマとしても映像化されています。特に、『疑惑の夜』と『死を運ぶトラック』は映画化され、多くの観客を魅了しました。『細い赤い糸』は、複数回にわたりテレビドラマ化されており、根強い人気を誇っています。

映画

『疑惑の夜』（1959年）監督：小林恒夫、主演：高倉健
『情無用の罠』（1961年）監督：福田純、主演：佐藤允

テレビドラマ

『古傷』（1961年、NHK「灰色のシリーズ」）主演：丹波哲郎
『目の中の茶色の空』（1962年、TBS系「日立ファミリーステージ」）主演：蜷川幸雄
『細い赤い糸』（1962年、テレビ朝日系「ミステリーベスト21」）主演：堀雄二
『細い赤い糸』（1989年、TBS系「土曜ドラマスペシャル」）主演：かたせ梨乃
『細い赤い糸』（2004年、テレビ東京・BSジャパン「女と愛とミステリー」）主演：伊東四朗

その他の著作

* 『ポンプクリート』（1970年、技術書院） - 烏田専右名義

飛鳥高は、推理小説の世界だけでなく、建築や工学の分野でもその才能を発揮した稀有な人物でした。彼の作品は、今も多くの読者に愛され続けています。

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