食べた愛/あたしたち

aikoの2021年9月29日リリースの41作目のシングル「食べた愛/あたしたち」は、2曲の表題曲が持つ個性と、aikoの音楽的広がりを感じさせる作品です。

まずA面曲の「食べた愛」は、カルビーポテトチップス2種類のCMソングとして起用されました。CMでは、商品イメージとaikoの優しい歌声が融合し、多くの視聴者の心に響いたことでしょう。楽曲は、商品コンセプトである「畑から、愛を込めて。」や「素材のおいしさ」を反映した、温かさや自然な美味しさを想起させるものとなっています。aiko独特の繊細なメロディーと、親しみやすい歌詞は、リスナーに心地よい余韻を残します。CMという枠を超えて、多くの人々にaikoの歌声を届けた、記憶に残る一曲となりました。

カップリング曲の「あたしたち」は、NHKよるドラ『古見さんは、コミュ症です。』の主題歌として書き下ろされました。人気漫画を原作とする本作は、コミュニケーションが苦手な主人公古見さんの成長物語です。このドラマのテーマである「人間関係」「友情」「成長」といった要素を見事に捉えた「あたしたち」は、ドラマの世界観をさらに豊かに彩りました。aikoの透明感のある歌声と、共感できる歌詞は、視聴者の心を掴み、ドラマの人気を後押ししたと言えるでしょう。

特筆すべきは、「あたしたち」がaikoのシングルA面曲としては初めてアルバムに収録されていない点です。これは、楽曲の持つ独立性と、ドラマとの強い結びつきを象徴していると言えるでしょう。シングルとして単独で存在感を放つ「あたしたち」は、aikoの音楽における新たな試み、そして表現方法の幅広さを感じさせます。

「食べた愛/あたしたち」は、CMソングとドラマ主題歌という異なる文脈で制作された2曲が収録された、aikoの多様な音楽性を示す作品です。それぞれの楽曲が持つ個性と、aikoの繊細な表現力が融合し、リスナーに深い感動と余韻を与えます。シングルとして、またaikoの楽曲群の中で、「食べた愛/あたしたち」は、その存在感を示し続けています。aikoファンのみならず、幅広いリスナーに愛される、そんな魅力に溢れた作品と言えるでしょう。

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