飯塚恵理人

飯塚恵理人（いいづか えりと）

飯塚恵理人は、1961年7月にアメリカ合衆国イリノイ州シカゴで生まれた日本の能楽研究者であり、椙山女学園大学の教授を務めている。その研究活動は、特に日本各地、とりわけ東海地方における能楽の歴史的変遷に焦点を当てており、この分野における重要な貢献を果たしている。

学歴

飯塚は1984年に筑波大学比較文化学類で日本文学を専攻して卒業した。その後、同大学院に進み、1991年に文芸・言語研究科博士課程の単位を取得して退学した。学業を続けながら能楽研究を深め、2002年には大阪大学より文学博士の学位を取得した。この博士論文のテーマは「近世能楽史の研究 東海地域を中心に」であり、氏のその後の能楽史研究の基盤となった。

職歴

大学院単位取得退学後の1991年、飯塚は椙山女学園大学に奉職し、生活科学部の専任講師に就任した。その後、1994年には助教授に昇任。2000年には新設された文化情報学部に移籍し、引き続き助教授を務めた。さらに研究と教育に励み、2007年には准教授を経て、同年に教授へと昇進し、現在に至るまで後進の指導にあたっている。

研究分野と業績

飯塚恵理人の専門は日本の能楽史であり、特に江戸時代から近代にかけての東海地方における能楽の展開、能楽を支えた人々や文化背景について詳細な研究を行っている。その研究成果は高く評価されており、2000年には日本風俗史学会より江馬賞を授与された。これは、氏の能楽史研究における貢献が学術的に認められた証である。また、夢幻能の構成や系譜に関する研究も重要な柱となっている。

主な著作

飯塚はその長年の研究活動の成果を多くの著作として発表している。単著としては、学位論文を基にした『近世能楽史の研究 東海地域を中心に』（雄山閣出版、1999年）があり、この地域の近世能楽の様相を詳細に明らかにした。また、『夢幻能の方法と系譜』（雄山閣、2002年）では、能楽の主要な形式の一つである夢幻能の構造や発展過程を分析している。さらに、『近代能楽史の研究 東海地域を中心に』（大河書房、2009年）では、明治以降の東海地方の能楽の変遷を描き出し、近世・近代を通じて同地域の能楽史研究を深化させている。

共編著としては以下のものがある。

『謡曲の和漢朗詠集受容』（芹川鞆生共著、奇呆虎洞、1993年）
『近代名古屋の能楽を支えた人々』（深谷哲監修、筧鉱一共編、全3巻、東海能楽研究会、2001年）

これらの著作を通じて、幅広い視点から能楽に関する研究成果を共有している。

補足

研究・教育活動の傍ら、インターネット上でも情報発信を行っており、「恵理人の小屋」と題したウェブサイトを運営しているほか、Twitter（@ikenofuna）でも活動の様子や能楽に関する情報を発信している。これらの活動を通じて、専門研究者だけでなく、一般の能楽愛好家との交流も図っている。飯塚恵理人は、その精力的な研究活動と教育への貢献を通じて、日本の能楽研究分野において確固たる地位を築いている。

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