飯尾尊雄

飯尾 尊雄（いいお たかお）は、1949年6月22日に愛媛県で生まれた日本の元プロ野球選手です。右投げ右打ちの投手としてプロの世界に足を踏み入れました。

愛媛県立丹原高等学校で野球に打ち込んだ飯尾氏は、卒業を控えた1967年秋のプロ野球ドラフト会議にて、当時の人気球団であった読売ジャイアンツから12巡目という順位で指名を受けました。この時、彼はすでに地元の有力金融機関である伊予銀行への就職が内定しており、野球とは異なる安定した将来が約束されていました。しかし、「読売ジャイアンツという、日本中の野球少年が憧れる球団に入団できる機会は、誰もが得られるものではない」という強い思いから、堅実な銀行員としての道を辞退し、プロ野球選手という厳しい世界への挑戦を決断しました。この決断は、彼の人生における大きな転換点となりました。

投手としての飯尾氏の投球スタイルは、力強い球質を特徴としていました。特に、打者の手元で重く感じられるようなストレートと、縦方向への大きな落差を持つカーブを主な武器としていました。これらの球種を組み合わせ、打者を打ち取ることを目指しました。

ジャイアンツに入団した最初のシーズン、1968年は、ファームレベルであるイースタンリーグの公式戦でも登板機会を得ることができませんでした。しかし、シーズン終了後に開催された秋の教育リーグでは、短いイニングながらも鋭い投球を見せ、1回と3分の1を投げて3つの三振を奪うなど、ポテンシャルの一端を示しました。

プロ2年目となる1969年は、飯尾氏にとって厳しいシーズンとなりました。残念ながら肩の故障に見舞われ、その影響で実戦から遠ざかり、シーズン中の登板機会は極めて限られました。回復後の秋季教育リーグで、大洋ホエールズ（現在の横浜DeNAベイスターズの前身球団の一つ）を相手に先発マウンドに上がりましたが、相手打線の猛攻を止められず、大量失点を喫して敗戦投手となりました。

結局、飯尾尊雄氏は読売ジャイアンツに在籍した2年間で、プロ野球の最高峰である一軍の公式戦に出場することは一度も叶いませんでした。そして、1969年シーズンの終了後、チーム編成の見直しに伴い、球団から戦力外通告（解雇）を受け、プロ野球選手としての短いキャリアに終止符を打ちました。

ジャイアンツでの2年間、飯尾氏が使用した背番号は「52」でした（1968年から1969年まで）。

プロ野球界を離れた後、飯尾氏は故郷である愛媛県に戻り、新たな道を歩み始めました。プロ野球とは全く異なる分野である、燃料、ガス、そして水道工事の販売業に携わったとされています。野球で培った経験を糧に、地域社会で活躍されたと考えられます。

飯尾尊雄氏のプロ野球選手としての経歴や、ドラフト指名から入団に至るまでの詳細なエピソードは、ジャーナリストの岡邦行氏が執筆したノンフィクション作品『江川になれなかった男たち－ドラフト外伝』（1983年、三一書房刊）の55ページから74ページにかけて詳しく記述されています。この著作は、注目されがちな上位指名選手やスター選手だけでなく、飯尾氏のように短いプロ生活で終わった選手たちの物語を通じて、ドラフト制度の光と影を描き出しています。

また、飯尾氏は愛媛県出身の人物であり、プロ野球選手としては読売ジャイアンツに所属した経歴を持つ人物の一人として記憶されています。

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