飯田新一

飯田新一（いいだ しんいち）について

飯田新一は、1913年3月29日に京都府で生まれた日本の実業家であり、髙島屋の3代目社長を務めました。彼は、髙島屋の創業者である飯田直次郎の長男として、商業界においても強い影響力を持つ家系に育ちました。彼の教育は、旧制甲陽中学を経て、その後早稲田大学専門部商科で受けました。1941年に髙島屋へ入社してから、彼のキャリアは急速に発展していきました。

キャリアの始まり

入社初期の彼は、大阪支店の総務部長として活躍し、その後1948年には取締役に昇進しました。特に1951年にはアメリカへの視察を行い、先進国の百貨店業界を調査しました。この経験は、彼が髙島屋を国際的な視野を持つ百貨店へと導く上での基盤となりました。彼は1952年に取締役大阪支店長に就任し、1954年には常務、さらに1956年には専務に昇進するなど、着実に地位を高めていきました。

社長就任と業績

1960年10月、彼は社長に就任し、以降は髙島屋グループの発展を見守る立場に立ちました。彼の任期中には、創業者家族に依存せず、経営の企業化が進みました。この時期、彼は1974年と1984年に日本百貨店協会の会長を務めるなど、業界全体にも大きな影響を与えました。彼のリーダーシップの下で髙島屋は、顧客サービスや商品ラインの充実に努め、競争の激しい百貨店業界において存在感を示すことができました。

晩年と引退

1987年に、飯田新一は次代のリーダーへと道を譲り、会長職を退任しました。この交代は、創業者一族からの経営の継続に一区切りをつける重要な出来事でした。しかし、そのわずか数ヶ月後の同年8月12日、彼は急逝しました。彼の死は、髙島屋の歴史において大きな転換点となり、その後の組織の方向性にも影響を与えることとなりました。

追想録とその影響

彼の人生と業績を記録した「飯田新一追想録」は、1988年に髙島屋の編纂委員会によって出版され、彼の経営理念や業績を振り返る貴重な資料となっています。また、髙島屋の150年を記録した高島屋150年史にも彼の影響が数多く取り上げられています。

飯田新一は、髙島屋をはじめとする日本の百貨店業界において、常に革新を追求し、顧客に愛される店舗作りを目指していました。彼の確固たる信念と実行力は、後の世代に多くの示唆を与え続けています。彼の功績は、経済的成功だけでなく、日本の商業文化においても重要な位置を占めているのです。

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