飯田鼎

飯田 鼎について

飯田 鼎（いいだ かなえ）は、1924年9月24日に千葉県東葛飾郡鎌ヶ谷村（現在の鎌ケ谷市）で生まれました。彼の父は飯田粲、母はいゐという名で、彼はその二男でした。飯田は1942年に旧制日本大学第一中学校（現在の日本大学第一高等学校）を卒業した後、1949年には慶應義塾大学経済学部を卒業しました。卒業後、同大学の助手としてキャリアをスタートさせ、1957年には助教授、1966年には教授に昇任しました。

経済学者としての彼の活動は、主に労働運動や社会政策に関する研究に集中しており、1958年にはイギリスの労働組合についての研究で慶應義塾賞を受賞しました。また、慶應義塾の労働組合活動にも積極的に関与し、三田支部委員長や委員長を務めました。彼は1967年には法政大学経済学部の講師として社会政策論を教えることになりますが、同大学での任期は1年でした。

1991年には慶應義塾大学を定年退職し、その後名誉教授としての地位を得ました。また、同年から二松学舎大学にて国際政治経済学部の教授として教鞭を執り、1997年に退任しました。2011年、飯田は86歳でこの世を去りました。

著作

飯田の研究成果は、多くの著作を通じて知られています。1958年には『イギリス労働運動の生成 黎明期の労働運動と革命的民主主義』を出版し、これにより彼の名は広く知られるようになりました。また、1966年には『マルクス主義における革命と改良』を発表し、この中で第一インターナショナルにおける階級や体制、民族の問題を考察しました。1976年には『イギリス・衰亡と再生』を刊行し、1977年には『労働運動の展開と労使関係 国際比較研究のために』を著しました。これらの書籍は、労働運動や経済学についての理解を深めるための貴重な資料となっています。

さらに、1984年には『福沢諭吉――国民国家論の創始者』、1987年に『社会政策の基本問題 歴史と現代との対話』、1988年には『わがヨーロッパ社会史の旅 体験と思索と』を発表し、福沢諭吉に関する研究や社会政策についての洞察を展開しました。

飯田の著作集も評価されており、全8巻にわたる『飯田鼎著作集』が彼の業績を体系的にまとめています。これには「ヴィクトリア時代の社会と労働問題」や「幕末・明治の士魂」など多岐にわたるテーマが含まれています。

論文

また、学術論文でも数多くの業績を残しています。彼の研究テーマとしては、労働運動の変遷や、福沢諭吉の思想、さらには経済学の歴史までさまざまです。彼の論文は『三田学会雑誌』などで発表され、多くの読者に影響を与えました。

家族

飯田には、兄に飯田毅という人物がいて、彼は鎌ケ谷市の初代市長としても知られています。飯田鼎の業績は現在も多くの分野で評価されており、彼の研究や著作は後の世代に大きな影響を与え続けています。

飯田 鼎は、長い学問の旅を経て、日本の経済学の発展に寄与した偉大な学者であり、その足跡は未来の研究者たちにとっての道標となっています。

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