首藤瓜於

首藤瓜於：推理小説の第一人者にして現代美術の支援者

首藤瓜於氏は1956年、栃木県宇都宮市に生まれました。上智大学法学部卒業後、会社員を経て、2000年、『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞し、作家としての道を歩み始めます。その鮮烈なデビュー作は、数々の賞にノミネートされ、後に映画化もされるなど、大きな話題を呼びました。

彼の作品世界は多様性に富んでいます。代表作である『脳男』シリーズは、人間の脳をテーマにした緻密な心理描写と、スリリングな展開で多くの読者を魅了し続けています。シリーズ第2作『指し手の顔 脳男II』は、第29回吉川英治文学新人賞候補にも選ばれるなど、高い評価を得ています。他にも、『事故係 生稲昇太の多感』や『刑事の墓場』、『刑事のはらわた』など、警察や犯罪を題材とした社会派ミステリーから、幻想的な世界観を描いた『大幽霊烏賊 名探偵 面鏡真澄』まで、幅広いジャンルの作品を発表し、その筆力は高く評価されています。2023年には最新作『アガタ』を発表し、現在も精力的に作品を執筆しています。

首藤氏の作品は、単行本としてだけでなく、文庫化やアンソロジーへの収録などを通して、より多くの読者に親しまれています。『ザ・ベストミステリーズ』などの推理小説年鑑への掲載作品も多いことから、その作品群は日本のミステリー文学に大きな足跡を残していると言えるでしょう。

しかし、首藤氏の活動は作家業だけにとどまりません。彼はCASA（カーサ、現代美術振興協会）を主宰し、事務局長として精力的に活動しています。「art-Link 上野-谷中」などのイベントを通して、現代美術作品のプロデュースや普及にも貢献しています。作家としての活動と、現代美術への情熱という、一見すると異なる分野での活動は、彼の多様な才能と豊かな感性を示すものと言えるでしょう。

首藤瓜於氏は、推理作家としての高い評価と、現代美術への積極的な関与を通して、現代社会に多角的な視点から貢献している稀有な存在と言えるでしょう。彼の今後の作品、そして現代美術への取り組みから、目が離せません。

主な作品リスト

『脳男』シリーズ
『脳男』（2000年9月 講談社）
『指し手の顔 脳男II』（2007年11月 講談社）
『ブックキーパー 脳男』（2021年4月 講談社）

その他の作品
『事故係 生稲昇太の多感』（2002年3月 講談社）
『刑事の墓場』（2006年4月 講談社）
『刑事のはらわた』（2010年10月 講談社）
『大幽霊烏賊 名探偵 面鏡真澄』（2012年6月 講談社）
『アガタ』（2023年8月 講談社）

映画化作品
* 『脳男』（2013年2月9日公開、配給：東宝、監督：瀧本智行、主演：生田斗真）

首藤瓜於氏の活動は、推理小説という枠を超え、現代美術にも及ぶその幅広さが魅力です。今後も彼の創作活動、そして現代美術への貢献に注目が集まることでしょう。

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