首都消失

『首都消失』について

『首都消失』は、日本のSF作家小松左京が執筆した小説であり、この作品は1983年から1984年にかけて、北海道新聞や中日新聞などの連載を経て、1985年に徳間書店から単行本として刊行されました。発売当初から多くの注目を集め、同年のベストセラーとしても知られています。また、第6回日[[本SF大賞]]を受賞した実績もあります。

あらすじ

物語は、S重工の企画総務課長、朝倉達也を主人公に展開されます。彼は、愛知工場への単身赴任を終え、新幹線で東京本社へと向かう途中、思わぬ異変に出くわします。それは、東京の中心部を中心に半径30キロメートルにわたって突如として出現した巨大な雲です。この雲は高さ1000メートルから1500メートルに達し、内部との通信や交通が完全に遮断されてしまったのです。

浜松駅で偶然出会った航空自衛官の友人、佐久間の車に乗せてもらい、共に厚木市にあるS重工中央研究所へ向かうこととなる朝倉。彼らは、雲の発生原因を調査するために、大田原剛造や田宮などの専門家と共に行動を開始します。この雲は、通常の方法では簡単に突破できず、竹槍や拳銃の弾丸すらもはじき返します。調査の結果、この雲が地球外の知的生命体の観測装置である可能性が高まるが、その正体や意図は依然として謎のままです。

雲の出現から10日ほど経過した後、日本政府は完全に消息を絶ち、各地の知事が集結して臨時国政代行機関を設立します。この新たな組織は、各都道府県と政令指定都市の代表によって構成され、日本政府再建のために奮闘することになります。通信が途絶えた中で、朝倉たちは家族の安否を確認しようとするが、朝倉の家族もまた雲に覆われた東京に取り残されていました。

雲の謎

雲は、東京都心を中心に半径30キロメートルの円環を形成し、外側から内部に進入しようとすると、強力な力で妨げられます。この現象は、周囲の重力場にも影響を及ぼし、内部の状態は完全に不明です。さらに、雲から発射される高エネルギーの粒子線は、上空の飛行機や人工衛星に対して攻撃を行います。アメリカが雲の軍事利用を図る中、日本は外交的にも厳しい状況に追い込まれていきます。

物語のクライマックス

物語が進む中、民間人や政府関係者、軍隊、報道機関など、それぞれの立場でこの非常事態に立ち向かう様子が描かれ、やがて状況は緊迫の度を増していきます。特に、朝倉たちの行動は物語の中心となり、彼らは新たな国政代行機関の内外での活動を通じて、隠された真実に迫ろうとします。雲が出現してから4か月後、国際的な調査が行われ、雲の正体が明らかにされる運命を迎えることになります。

結末

物語は、特異な存在であるこの雲が、何らかの理由で突然消失することで幕を閉じます。しかし、その影響を受けた人々の心には、未だ多くの疑問や不安が残るのです。物語全体を通じて描かれる人々の苦闘や、未知の恐怖に立ち向かう勇気は、多くの読者に深い印象を与えました。特に、未知の存在に直面した時の人間の選択や、団結の大切さをテーマに据えたこの作品は、時代を超えたメッセージを持っています。

『首都消失』は、そのストーリーとテーマから、多くのメディアや他作との関連でも言及されています。映画化もされ、原作とは異なる角度でこの世界を描いていますが、どちらの形式でも、多くの人々の心をつかむ作品であることは間違いありません。

もう一度検索