香取秀真

香取 秀真: 日本の鋳金工芸の巨星

香取秀真（かとり ほつま、生年1874年1月1日 - 没年1954年1月31日）は、鋳金工芸の作品を通じて日本の美術界に多大な貢献を果たした作家であり、また歌人としても名を馳せました。彼は、金工史の学問化に寄与し、研究者としても優れた業績を残したことから、文化勲章を受章した初の工芸家となりました。東京美術学校（現在の東京藝術大学）の教授を務め、また芸術院の会員としても活躍しました。

幼少期から青年期

香取は千葉県印旛郡船穂村（現・印西市）で生まれましたが、5歳の時に麻賀多神社の宮司の養子となりました。養父のもとで育った彼は、佐倉で多くの古い寺院や遺跡に触れ、古代文化に対する強い興味を持つようになりました。1889年には佐倉集成学校で学び、和歌を創作し始めます。この時期、彼は「万葉集」の写本を作ることで作歌を学び、また自身の手で仏像を作りたいという夢を持つようになります。

東京行きと教育

秀真は、東京に出て本格的に学ぶことを希望し、その願いを養父が受け入れた結果、1891年に東京美術学校鋳金科に首席で入学します。卒業後、彼の妻と結婚し、長男が生まれましたが、初期の彼の芸術活動は経済的困難に見舞われました。にもかかわらず、彼は1898年の日本美術協会展で、1900年のパリ万国博覧会でも評価されました。しかし、作品が売れず厳しい日々を過ごしました。この時、彼は弟子たちを養うために妻の嫁入り道具を売り、たまの帰郷後は友人との交流を通じて困難を乗り越えていきます。

教育者としての道

1903年に再婚した秀真は、その後も制作活動を続け、1933年には母校の教授として「鋳金史」「彫金史」を講義し、後進の芸術家たちの育成に尽力しました。彼は、古典的な様式を重視しながらも、現代的な要素を加えた作品制作を行い、その中で名声を確立しました。特に、彼の作品に見られる実用性や手触りの良さは、工芸品に求められる重要な要素として常に意識されていました。

作品と業績

秀真の作品は「古典派」や「伝統派」と称され、古代の形や模様を基にしつつ、独自の視点で作品を作り続けました。例として「鳳凰香炉」や「鳩香炉」が挙げられ、古典からの影響を受けつつも、新たなデザインを取り入れる革新性が見受けられます。彼の代表的な作品には、青銅製の「八稜鏡瑞鳥文喰籠」や「雷文鋳銅花瓶」、歌集としての『天之真榊』などがあります。また、学術著書としては『日本金工史』や『金工史談』などがあり、40冊以上の論文も手掛けています。

晩年と影響

晩年には急性肺炎を患い、1954年に81歳で亡くなりました。彼の墓所は豪徳寺にあります。香取秀真は、その生涯で多くの業績を残し、鋳金工芸の発展に寄与しただけでなく、教えを受けた後進たちは彼の業績を引き継ぎ、さらなる進展を遂げています。彼の功績は、金属加工の分野においても高く評価されています。

もう一度検索