香寺町

香寺町

かつて兵庫県の南西部に位置し、神崎郡に属していた自治体、それが香寺町（こうでらちょう）でした。自然豊かな田園風景が広がるこの町は、近隣の都市、特に姫路市への通勤者が多く、平成17年の国勢調査では、町民の36.6%が姫路市へ、14.1%が福崎町へ通勤していることが示されていました。

2006年3月27日、香寺町は姫路市に編入される形でその歴史に幕を閉じ、現在は姫路市の一部である「姫路市香寺町」として地域名が受け継がれています。

地理

香寺町域は、緑豊かな自然に恵まれた田園地帯が中心でした。町の東側には、姫路市との境界線の一部をなすように市川が流れています。気候は温暖な瀬戸内海式気候に属しており、比較的穏やかな気候条件でした。

かつて香寺町が隣接していた自治体は、姫路市、神崎郡の福崎町、そして飾磨郡の夢前町でした。

歴史

香寺町の歴史は、昭和の合併に始まります。1954年（昭和29年）3月31日に、香呂村と中寺村が合併して新たな町として発足しました。その後、約52年間にわたり独立した自治体として歩みましたが、平成の大合併の流れの中で、2006年（平成18年）3月27日に姫路市へ編入されることが決定し、同日をもって自治体としての香寺町は廃止されました。

教育

町内には、地域の子どもたちの学びを支える複数の教育機関が設置されていました。小学校としては、香寺町立中寺小学校、香寺町立香呂小学校、香寺町立香呂南小学校がありました。中学校は、香寺町立香寺中学校に加え、日ノ本学園中学校がありましたが、こちらは休校中でした。高等学校としては、兵庫県立香寺高等学校と日ノ本学園高等学校が立地していました。さらに、高等教育機関として姫路日ノ本短期大学も町内にありました。

交通

交通網では、西日本旅客鉄道（JR西日本）の播但線が町域を縦断しており、主要な鉄道駅として香呂駅と溝口駅が設けられていました。

道路網については、高速道路である中国自動車道が町域の北端部をわずかに通過していましたが、町内にインターチェンジは設置されていませんでした。一般道では、主要幹線である国道312号が町を南北に結んでいました。その他、兵庫県道23号三木宍粟線、兵庫県道80号宍粟香寺線、兵庫県道81号小野香寺線といった主要地方道のほか、兵庫県道409号久畑香呂線、兵庫県道410号中寺北条線などの一般県道が地域の交通を担っていました。

名所・旧跡・観光スポット・文化施設

香寺町には、歴史的な趣を持つ旧跡や、自然、文化に触れることができる多様なスポットが点在していました。

名所・旧跡としては、かつてこの地にあった城の跡であり市の史跡に指定されている恒屋城址、古刹である八徳山八葉寺、珍しい名の蛇穴神社、そして毘沙門天王堂などがありました。また、温泉施設として、町民や訪問者の憩いの場であった竹取の湯・香寺荘や中村温泉も利用されていました。

文化施設としては、美しいハーブが楽しめる香寺ハーブガーデン、地域の歴史や暮らしを知ることができる香寺民俗資料館、そして世界中から集められた様々な玩具を展示する日本玩具博物館があり、学びやレジャーの拠点となっていました。

かつて独立した自治体であった香寺町は、これらの豊かな自然、歴史、文化、そして交通インフラを有し、地域住民の生活を支えていました。現在、その行政区分はなくなりましたが、地域名は残り、かつての香寺町の歴史と文化は、現在の姫路市香寺町の中に息づいています。

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