香港人

香港人とは

香港人（ホンコンじん、英語：Hong Kongese /Hongkongers/Hong Kong people/Hong Kong Citizen）とは、一般的に国籍や人種を問わず、香港に永住権を持つ人々のことを指します。香港は歴史的に複雑な経緯を辿っており、そのことが香港人のアイデンティティや国籍に影響を与えています。

歴史的背景

清朝末期、香港はイギリスに割譲され、その後、1997年に中華人民共和国に返還されました。この過程で、香港人の国籍は複雑化しました。1949年の国共内戦による台湾海峡の両岸分断により、中華民国と中華人民共和国の両政府が中国全土の主権を主張したため、香港人は両方の国籍が重なる時期がありました。1997年の香港返還後は、中国籍の香港人は自動的に中華人民共和国の国民となりましたが、二重国籍を持つことも認められています。また、香港には中国系以外にも様々な民族が居住しており、香港の永久IDカードを持つことで香港人として扱われます。

香港の法律では、香港居住者は永住者と非永住者に区別されます。人口構成は華人が圧倒的に多く、過去の国勢調査では93%以上を占めています。香港文化は、漢民族の嶺南文化をベースにしていますが、イギリスの統治下にあった歴史も色濃く残っています。

国籍

香港は現在、中華人民共和国の特別行政区ですが、全ての香港人が中華人民共和国の国籍を持っているわけではありません。多くの香港人が、香港特別行政区のパスポートと英国のパスポートを二重で所持しています。また、中国本土への往来に必要な回郷証や、海外のパスポートも所持しているため、二重国籍を持つ人が多く存在します。

イギリス国籍

香港の人口の約半分が英国籍を持ち、そのうち約340万人が英国籍（海外）（BNO）保持者です。BNOは英国国籍の一形態ですが、英国での居住権はありません。このステータスは生涯有効ですが、子供の世代に引き継ぐことはできません。1997年の香港返還後は、香港人であることを理由に英国籍を取得することはできなくなったため、近年では香港特別行政区のパスポート保有者数が英国市民（海外）のパスポート保有者数を上回っています。

中華人民共和国国籍

香港の主権移譲後、中国系の香港永住者は自動的に中華人民共和国の市民となり、香港特別行政区のパスポートを申請して他の国籍を持つことができるようになりました。「一国二制度」の下、香港居住者は中国中央政府に税金を支払う必要はなく、香港特別行政区政府にのみ税金を支払います。主権移譲前の香港人は、英国軍に採用されたり、民兵組織に加入したりすることができましたが、現在は香港基本法により、軍隊への入隊、兵役、軍事訓練の義務はありません。香港居住者が中国本土に入国するには、回郷証を所持する必要があります。

中華民国国籍

1949年の国共内戦後、台湾に撤退した中華民国政府は、香港の中国人を華僑とみなし、中華民国の国民身分を与える時期がありました。香港の主権が中国に移譲される前には、中華民国の国民身分証を取得できた人も存在します。現在、中華民国政府は、BNO/SARのパスポートのみを所持している者を香港住民と定義し、中華民国憲法の附則の枠内で非外国人・非国民と位置づけています。

その他の国籍

1970年代から1980年代にかけて海外に移住した香港人は、永住権を維持しながら他の国籍を取得することができました。1990年代前半の天安門事件の影響で、政治的な将来を危惧し、多くの香港人が海外に移住しました。これにより、香港や中国での仕事やビジネスを容易にする目的もあります。

近年の民族帰属意識

近年、自らを中国人ではなく、香港人とみなす人が増える傾向にあります。2019年の調査では、18～29歳の若者の75%が「自分は香港人」と回答しました。2008年の北京オリンピックを契機に若年層の中国への愛国心が高まりましたが、その後は減少し続けています。また、台湾独立や台湾の国連加盟を支持する香港人も増えており、両岸統一への関心は薄れています。

まとめ

香港人は、複雑な歴史的背景と多様な文化を持つ人々です。香港の永住権を持ち、さまざまな国籍や民族的背景を持つ人々が存在します。近年では、香港人としてのアイデンティティが強まり、中国本土との関係について独自の立場を主張する傾向が強まっています。

関連項目

香港人の一覧
香港民族主義
香港民族論
立法会
* 香港独立運動

もう一度検索