香港基本法第23条

香港基本法第23条とその背景

香港基本法の第23条はいわゆる「国家安全」に関する重要な規定を含んでいます。この条文は、中央人民政府に対しての反逆、分離、扇動、転覆、及び国家機密の盗用を禁止するために、香港特別行政区が独自に法律を制定する必要があると定めています。また、外国の政治組織や団体による地域内での政治活動を禁じること、そして地域の政治組織や団体が外国の組織と連携を結ぶことも禁止されています。

条文の成立と背景

第23条は1990年4月4日、香港基本法が成立する前に数回の修正を経て完成しました。初めての1987年版では、現在の長さよりもはるかに短い条文で定義されていましたが、次第に内容が充実するよう改訂が行われました。特に1989年2月版においては、現行の条文の前半部分までしか採用されておらず、国家機密の盗用に関する文言が含まれていました。このような内容は、香港市民の自由を大きく左右する可能性があり、多くの意見が寄せられていました。

さらに、当時の法案に対する反対意見も多くあり、「資本主義体制は国家統一を損なう」との指摘がなされたことから、条文の内容が議論を呼びました。イギリスの植民地時代にも類似の法律が存在したものの、1945年以降は実施されておらず、そのために1997年以降の施行に関する議論が浮上してきた経緯があります。特に、植民地時代の緊急法規（ERO）は依然として有効ですが、現代の法律との調和が取れていないとの見解も示されています。

2003年の国家安全条例法案

基本法第18条により、香港では中国本土の国家安全法が適用されないため、香港政府は自ら第23条に従った法律を制定する義務があります。そこで、2002年末にはこの法案が董建華政権によって提出され、2003年2月には「国家安全（立法規定）法案2003」が提案されました。この法案の目的は、香港における犯罪規則や公務員の秘密規則を改正することでしたが、激しい反対運動が起こりました。

2003年7月1日には、数十万人がこの法案に反対するデモを実施し、結果として法案は撤回され、その審議は無期限で中止されることとなりました。このような動きは、香港における自由と安全とのバランスを取る難しさを浮き彫りにしています。

2003年以降の動向

2003年の国家安全条例の挫折以降も、親北京派からは時折国家安全法の再導入が求められています。2016年には独立主義活動者に対する議会からの排除に関する解釈がなされ、香港特別行政区の行政長官は、「香港では独立主義を絶対に許さない」との声明を発表しました。これに対し、香港中央連絡事務所の主任も国家安全法の制定を呼びかけており、何度もその必要性が強調されています。

彼は香港が世界で唯一国家安全法を欠く地域であり、これは国家全体の安全にとっての重大な弱点であるとし、そこでの独立派の活動が国家主権と安全を挑戦するものと捉えています。このようにして、香港基本法第23条やそれに関連する国家安全法の制定は、今なお具合的な議論と対立を抱えながら進行中です。

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