馬息嶺スキー場

馬息嶺スキー場の概要

馬息嶺スキー場（まぎょんりょうスキーじょう）は、北朝鮮の江原道に位置する大規模なスキーリゾートです。このスキー場の全長は110kmに達し、周囲の自然環境と調和した造りが魅力となっています。スキー場の最高地点は海抜1360mで、冬季には多くのスキーヤーや観光客が訪れる場所として知られています。

スキー場の建設と「馬息嶺速度」

このスキー場の建設は、北朝鮮当局が誇るスローガン「馬息嶺速度」に象徴されています。このフレーズは、プロジェクトの迅速な進行を示すために、他のスピードに関する表現にならったものとみられます。過去には「千里馬速度」や「平壌速度」といった表現が使われてきましたが、「馬息嶺速度」は特にスキー場の建設の早さを強調するために作り出されました。

2013年の初め、北朝鮮の労働新聞は金正恩第1書記の指導のもと、スキー場の建設を加速するように促す記事を掲載しました。同年の6月には、スキー場建設に関する報道が盛んに行われ、「馬息嶺速度」という言葉がメディアで頻繁に使われるようになりました。

建設の課題と惨事

しかし、建設現場は自然災害の影響を受けることもあり、2013年7月には豪雨によって一部が崩壊し、多くの死傷者が出たという情報がありました。このような困難を乗り越えつつ、スキー場の全体計画にはスケート場やホテルなどの関連施設も組み込まれています。

国際的な影響と制限

スキー場の建設にあたっては、国外からのスキー用具の調達が制約されるという側面もあります。特に、西側諸国は北朝鮮へのリフトやスキー道具の輸出を制限する動きがありました。スイス政府は、高級品の輸出が制裁内容に含まれるとして、リフトの売買をキャンセルしました。これに対して北朝鮮スキー協会は、自国製造のリフトが国連憲章に違反していないと反論しています。

スキー場のオープンと注目の訪問者

2013年12月31日に馬息嶺スキー場が正式にオープンしました。開場式には金正恩第1書記が参加し、リフトに乗って視察を行いました。リフトなどの多くの設備は、北朝鮮国内で製造されたものとされています。オープンの直後には、世界中でこのスキー場の映像が報道され、特にスウェーデンの人工降雪機やカナダ製のスノーモービルなどが注目されました。これらの設備は中古で調達されたとの見解もあります。

その後、著名人も訪問しており、元NBA選手のデニス・ロッドマンや日本の参議院議員アントニオ猪木がこのスキー場を訪れました。

近年の発展

北朝鮮のスキー場は、今や国内外から観光客を呼び込みつつあり、2018年には平昌オリンピックに向けた南北合同のスキー練習が行われました。また、2024年にはロシア向けの観光ツアーが計画されており、スキー場と平壌観光を組み合わせたプランが提示されています。これは、国際的な観光地としての地位を確立しようとする意欲の表れです。

馬息嶺スキー場は、北朝鮮の国際的な存在と国民の娯楽を結びつける重要なポイントであり、今後の展開にも注目が集まっています。

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