馬政第一次計画

馬政第一次計画の概要

1905年、日本は馬の品種改良を目指す「馬政第一次計画」を策定し、1906年から約30年間にわたり実施しました。この計画は、日清・日露戦争で日本の軍馬が外国の馬に比べ劣っていることが明らかになったことから始まりました。そこで、日本の馬を大型化し、品質を向上させることが急務とされました。

計画の立案

日露戦争中に、日本陸軍の兵士たちは、適応能力がなく疲弊する軍馬の問題に直面しました。これを受けて、1904年9月に臨時馬制調査委員会が発足し、馬の品質向上に向けた改革が検討されました。その結果、馬政第一次計画としてまとめられたのです。この計画は、大きく第一期（1906年度から1923年度）と第二期（1924年度から1935年度）に分かれ、他の計画へとつながる基礎となりました。

第一期計画の実施

第一期計画では、日本全国の馬を対象にした品種改良が目指され、10の具体的な方針が策定されました。具体的には、国を6つの馬政管区に分け、各区ごとに馬政官が設置されることとなったほか、全国に15の種馬所と3つの種馬牧場が設けられました。

さらに、毎年国内外から馬を購入する方針も立てられ、特にオーストラリアから輸入した馬が重要な役割を果たしました。豪州から輸入された馬は多くが国内での繁殖に使用され、特に東京大正博覧会ではその戴く高い評価を獲得しました。これにより在来種との混血が進み、馬の品種改良の成果が上がったのです。

去勢技術の導入

当時、日本の軍馬には気性が荒いものが多く、これへの対策として去勢が考案されました。1901年には、3歳以上15歳未満の馬に去勢を行うことが義務付けられましたが、実施に向けた準備が遅れ、実際に施行が始まったのは1917年になってからでした。しかし、去勢技術員の養成などが進むにつれ、去勢を行う頭数は増加し、1916年には年間約9,000頭だった去勢頭数が1917年以降は年間30,000頭以上に達しました。

計画の成果

第一期計画は1923年度に完了し、国内の馬の約三分の二に対して品種改良が成功したとされています。その後の第二期計画では、さらに残りの馬匹について改良を続けることが目指されました。特に生産される馬の種類を適した基準に固定し、日本人の体格にマッチした持久力のある馬を意図して生産が続けられました。

このように、馬政第一次計画は、日本の馬の品種改良にとって欠かせない重要なもので、長期にわたる成果として日本国内の馬の品質向上に貢献しました。

日本の馬に対する取り組みは、国際競争力を高めるための基本的な土台を築く上で非常に重要でした。馬政第一次計画の実施は、日本の馬産業のみならず、農業や経済全般に影響を及ぼしたといえるでしょう。

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